口コミサイトはすべてGoogleマップに駆逐される運命?

「自社の事業に関連するポータルサイトを作りたい」「ポータルサイトには口コミ機能を入れたほうがいい?」

新サイトを検討している起業家や経営者からたびたび相談を受けます。確かにサイト内の口コミ機能は、幅広い視点から作成される新規コンテンツ作成を継続的にローコストで行えること、訪問者のより深いエンゲージメントによるファン化を促すことで人気です。口コミサイトやポータルサイトにおける口コミ機能は、今や消費者行動において重要な役割を果たしています。

しかし、そこには落とし穴もあります。それは、ネット界の巨人Googleマップの存在です。先の起業家や経営者の方とお話していても「その口コミ機能は結局Googleマップの劣化版にしかならないのでは?」と指摘させていただくこともよくあります。

今回は、口コミサイト、またはポータルサイトに口コミ機能を実装する際のサイト開発の注意点について説明します。

ウェブサイトの口コミ機能とは?

口コミ機能は「消費者が自らの経験や評価を共有し、他の消費者の購買行動に影響を与えるオンラインプラットフォーム」と定義されます。

口コミサイト、またはサイト内の口コミ機能は、ユーザーが商品やサービスに対する評価、感想、体験をテキスト、画像、または動画で共有する場を提供します。これにより、消費者はより信頼性のある情報に基づいて購買決定を行います。

口コミ機能の特性はサイトに以下3つの特性をもたらします。

1. 透明性
2. 多角性
3. 即時性

口コミは、消費者による自然な評価が行われるため、ブランドイメージに大きな影響を与えます。また、良い評価が多い場合、それが新規顧客を引きつける要素となります。口コミ機能は、単なる評価システム以上の多面的な役割を果たしています。これを理解し、効果的に活用することで、ビジネスはさらなる成長と顧客満足度の向上を実現できるでしょう。

口コミ機能の追加によるサイトの強みとメリット

口コミ機能の追加は、単なるポータルサイトに情報を掲載する以上の価値を提供します。以上のような多角的な強みとメリットを通じて、ビジネスの競争力を高めることが可能です。

信頼性と認知度の向上

口コミ機能を追加することで、ユーザーからの実際の評価やフィードバックが集まり、サービスや商品の信頼性が向上します。口コミ機能により、新規ユーザーがサービスを利用する際の心理的な障壁が低くなり、認知度も高まります。

ユーザーエンゲージメントの強化

口コミ機能は、ユーザーが積極的にサイトに参加し、自らの意見や評価を共有する場を提供します。これにより、ユーザーエンゲージメントが高まり、リピート利用や長期的なロイヤルティが期待できます。

クオリティの可視化と改善

ユーザーからの口コミは、サービスや商品の品質を可視化する貴重なデータとなります。これを基に、サービス改善や新たな価値提案を行うことができ、結果としてビジネスの成長を促進します。

SEO効果

口コミは新しいコンテンツを定期的に生成するため、SEOにも寄与します。ユーザーが自然言語で評価や感想を書くことで、検索エンジンにより高く評価されやすくなります。

ユーザーインサイトの獲得

口コミからは、ユーザーが何を重視しているのか、どのような点で満足または不満足であるのかといったインサイトを得ることができます。これは、マーケティング戦略や商品開発において非常に有用な情報です。

ソーシャルプルーフの提供

人々は、他の人々が評価したり、推薦したりする商品やサービスに対して、自らも評価や推薦を行いやすいとされています。口コミ機能はこのソーシャルプルーフを形成し、新規ユーザーの獲得を助けます。

新しい口コミプラットフォームの開発において気をつけるべき点

口コミ機能を実装したサイトを開発するにあたり以下の注意点があります。

プライバシーと機密性の確保

プラットフォームの信頼性を確立するためには、ユーザーのプライバシーと機密性をしっかりと保護する必要があります。例えば、特定分野の医療医療サービスのようなデリケートな分野では、匿名での口コミ投稿が一般的です。このようなニーズに対応するためには、二段階認証や暗号化技術を用いたセキュリティ対策が不可欠です。

専門性への対応

高度な専門性を要するサービス、例えば士業サービスでは、一般的な「良い・悪い」の評価では不十分です。そのため、業界の専門家と協力して、特定の評価基準やレビュー項目を設定することが有用です。

ユーザーエンゲージメントの促進

口コミが少ない事業分野、購入頻度が少ない事業分野の場合は、ユーザーが口コミを投稿するためのインセンティブが必要です。割引クーポンの提供やゲーミフィケーション要素の導入など、ユーザーが積極的に参加する仕組みを考える必要があります。

信頼性と透明性の確保

口コミプラットフォームの信頼性を高めるためには、投稿された口コミが一定のモデレーションを経てから公開されるような仕組みが必要です。AIや人手による厳格なモデレーションを行い、その基準をユーザーに明示することで、透明性も確保できます。

ユーザーセグメントへの対応

特定のユーザーセグメント、例えば高級ブランド店の顧客に対して、そのニーズに合わせたプラットフォームのカスタマイズが必要です。UI/UXの設計段階から、ターゲットとするユーザーグループの特性を考慮することが重要です。

法的コンプライアンス

口コミには法的な側面もあり、特に医療や金融など、厳格な規制が存在する分野では法的コンプライアンスが必要です。専門の法律家と協力し、各国・地域の法規制に準拠した運営を行うことが必要です。

口コミサイトの雄Googleマップ

口コミ機能を実装するサイトを開発するにあたり、必ず気にしなければならないのはGoogleマップの存在です。Googleマップは、地図サービスだけでなく、高度な口コミプラットフォームとしても機能しています。

Googleマップをよくわかっていないと、いくら口コミ機能を実装しても、結局Googleマップに口コミの書き手が流れてしまい、口コミの過疎化を引き起こしてしまいます。新しい口コミサイトの開発においては、Googleマップが持つ強みにどのように対抗または補完するかを戦略的に考慮することが重要です。

Googleマップの強みと特性を深く理解することは、新しい口コミサイトを開発する際の戦略立案に不可欠です。

地域密着型の情報提供

Googleマップは、GPSデータを活用して地域特有の情報を提供します。これにより、ローカルビジネスに対する高度なターゲティングが可能です。地域に密着した情報が消費者行動に大きな影響を与えると指摘しています。

特に、地域密着型の情報提供は短期間で確立するのが難しい要素です。新しい口コミサイトがこの点で競合する場合、地域に特化した独自の情報源を提供する必要があります。

ユーザーベースの広さ

Googleマップは全世界で利用されており、多様な文化背景やニーズを持つユーザーからの口コミが集まります。これにより、多角的な評価が可能となります。大量のユーザーデータがもたらす「ウィズダム・オブ・クラウズ」(集合知)の効果です。

ユーザーベースの広さは、短期間で確立するのが難しい要素です。新規サイトでこの強みに対抗するには、特定のニッチなターゲットに特化するなどの戦略が必要です。

インテグレーションの高度化

GoogleマップはGoogle My BusinessやGoogle検索と高度に連携しています。これにより、一元的なデータ管理と効率的なマーケティング活動が可能です。新規サイトは、API連携やパートナーシップによる独自のインテグレーションを考慮するべきです。

リアルタイム性と即時性

Googleマップは、リアルタイムでの情報更新が可能です。これにより、消費者は最新の情報を得られ、信頼性が高まります。新規サイトでこの点を補完するには、高度なデータ分析と速報性を確保する技術が必要です。

高度なフィルタリングと検索機能

Googleマップでは、多様なフィルタリングオプションが用意されています。これにより、ユーザーは自分のニーズに合った情報を効率よく探せます。新規サイトでは、高度な検索アルゴリズムやAIを用いた推薦システムを開発することで、この強みに対抗できます。

Googleマップの口コミの弱みは?

無敵に見えるGoogleマップの口コミ機能ですが、当然カバーしきれない以下のような分野もあります。新しい口コミサイトを検討する場合の参考になるでしょう。

Googleマップの口コミが苦手とする分野

詳細

オンラインビジネス 物理的な店舗がない場合、地域ベースの口コミは集まりにくいです。
情報商材 地域に依存しない商品やサービスはGoogleマップでの評価が少ない傾向にあります。
B2Bビジネス 一般消費者向けでないビジネスも、Googleマップでの口コミが少ない場合があります。
高度な専門サービス 法律事務所や医療機関など、専門性が高いサービスは、一般の人々が評価することが難しい場合があります。

Googleマップの口コミではカバーされない狙い目の事業分野

Googleマップは多くの地域ベースのビジネスにとって、非常に有用な口コミプラットフォームとなっています。では、一般消費者向けのBtoCビジネスで、地域密着型のローカルビジネスはどうしてもGoogleマップには勝てないのでしょうか?そんなことはありません。

以下のような事業分野においては、Googleマップの口コミ効果が限定的です。Googleマップでの口コミが少ないため、新しい口コミプラットフォームの開発において大きな機会となる可能性があります。これらのニッチな分野に特化したプラットフォームを開発することで、新しい事業の核とすることが可能でしょう。

葬儀業

葬儀は一般的に使用頻度の低い、または非常に稀なサービスです。このような「低頻度」のサービスは、口コミが集まりにくい傾向があります。

さらに、葬儀には関わる人々の感情的な側面が非常に強く、多くの人々がその経験について公に話すことを避けるため、口コミが少なくなりがちです。しかし、だからこそ葬儀業者のサービス品質や価格についての口コミを閲覧できるサイトは貴重です。

最近調査した以下サイトは葬儀業界の口コミ情報を体系的に収集して公開する仕組みを持っています。

https://soogi.jp/

精神医療サービス

精神医療は非常にデリケートな問題であり、多くの人々がプライバシーを重視します。この「社会的タブー」により、口コミが出にくいのです。
また、精神的な問題は個々人によって異なるため、医院系ポータルサイトは多いですがメンタル系クリニックは一般的な評価が難しいとされています。

結婚相談所・マッチングサービス

結婚やパートナーシップは非常に個人的な問題であり、成功した場合でも多くの人々がその経験について公に話すことを避けます。この「プライバシーの問題」により、口コミが控えられる傾向があります。

高級ブティック・ジュエリーショップ

高級ブティックやジュエリーショップは、特定の「限られた顧客層」にサービスを提供しています。そのため、一般的な口コミプラットフォームではその評価が少ないのです。

タトゥーショップ

タトゥーのような文化的、または社会的な理由で一部の地域や集団では受け入れられない商品やサービスも多くあります。このような「文化的・社会的制約」により、口コミが出にくいのです。

税務・会計サービス

税務や会計は「高度な専門性」を要するサービスであり、一般の人々がその品質を評価することは難しいです。また、サービス内容が個々に特化しているため、一般的な口コミが書きにくいのです。

私立探偵・調査サービス

私立探偵や調査サービスは、高いレベルの「プライバシーと機密性」を必要とします。そのため、成功したとしてもその詳細を公にすることは少なく、口コミが出にくいのです。

不妊治療クリニック

不妊治療は非常に「個人的で感情的な問題」に関わるため、多くの人々がその経験について公に話すことを避けます。このようなデリケートな問題に対する口コミは、一般的なプラットフォームでは少ないのです。

まとめ

口コミ機能を有するポータルサイトの潜在的な価値とその障壁について詳しく解説しました。口コミ機能は確かに新規コンテンツの生成とユーザーエンゲージメントの促進に一役買いますが、その一方でGoogleマップという超大手プラットフォームとの競合は避けられません。

ですから、Googleマップとどのように差別化を図るかがキーです。このポイントを踏まえ、効果的なサイト開発とビジネス戦略の策定にお役立てください。
最新のWebマーケティング情報収集、SEOの外注化、または内製化における伴走型サポートに興味ある方は弊社にお気軽にご相談ください。