
AIを活用した次世代のWebマーケティング(LLMO)にいち早く着手し、「LLMs.txt」を設置しようとしているものの、「なぜかうまく機能しない」「エラーが出てしまう」といった問題に直面していませんか?
期待を込めて設定したにもかかわらず、AIに正しく認識されない状況は、焦りや不安を感じさせますね。
LLMs.txtのエラーは、単純な記述ミスから、見落としがちなサーバー設定、さらには戦略的な観点の欠如まで、いくつかの典型的なパターンに分類できます。
この記事では、多くの企業様のWebマーケティングを支援しているスリードット株式会社のコンサルタントの視点から、LLMs.txtで発生しがちなエラーの原因を網羅的に解明します。5分で原因を特定できる診断チェックリストから始め、具体的な修正手順、そして単なる修正に留まらない「戦略的に有効なLLMs.txt」の運用方法まで段階的に分かりやすく解説します。
LLMs.txtでよく発生する8つのエラーとは?

LLMs.txtの実装は簡単ですが、それでも予期せぬ問題が発生することがあります。ここでは、実際によく報告されるトラブルと、その即効解決策をまとめました。
問題に直面したとき、焦る必要はありません。ほとんどのトラブルは5分以内に解決できます。
404エラー
https://サイトのドメイン.com/llms.txtにアクセスすると「ページが見つかりません」と表示されることがあります。
原因:
- ファイルがルートディレクトリに配置されていない
- ファイル名のスペルミス(llm.txtやllms.text等)
- サーバーのアップロードに失敗している
- ファイルを見るためにIDやパスワードが必要な状態(Basic認証など)になっている
解決策:
- FTPソフトで接続し、ルートディレクトリ(public_html や www 等)を確認
- index.htmlやrobots.txtと同じ階層にllms.txtがあるか確認
- パスワード認証が必要だったり、特定IPアドレスからのみアクセス可能な状態であれば、誰でも自由にアクセスできる状態に変更する
- ファイル名が正確にllms.txt(小文字)であることを確認
- 再度アップロードし、ブラウザのキャッシュをクリア(Ctrl+F5)
構文が完璧でも、ファイルの置き場所や名前が間違っていれば、AIクローラーは見つけることすらできません。
LLMS.TXTやllm.txtのような大文字・小文字の間違いやスペルミスは許されません。ファイル名は常に小文字で統一してください。また、サブディレクトリ(例:/seo/llms.txt)に置いても認識されません。
文字化け
ブラウザでllms.txtを開くと、日本語が「譁�蟄励・縺代��」のような文字化けで表示されるのもよくあるエラーです。
原因:
- ファイルがUTF-8以外のエンコーディングで保存されている
- サーバーのContent-Type設定が不適切
解決策:
- テキストエディタでllms.txtを開く
- 「名前を付けて保存」→エンコーディングを「UTF-8」に変更して保存
- Windowsのメモ帳を使う場合は「UTF-8(BOMなし)」を選択
- VS Code等のエディタを使う場合は、右下のエンコーディング表示をクリックしてUTF-8を選択
- 再度アップロード
それでも解決しない場合は、サーバーの.htaccessに以下を追加:
|
1 |
<Files llms.txt> AddDefaultCharset UTF-8 </Files> |
特に日本語を含むサイトの場合、UTF-8でないと文字化けが発生し、AIが内容を正しく解釈できなくなる可能性があります。
AIクローラーが来ない
LLMs.txtを設置して数週間経ってもAIクローラーのアクセスログが確認できないこともあります。
原因:
- robots.txtでクローラーをブロックしている
- サイト自体が新しすぎて、まだ発見されていない
- User-Agentを見逃している
- 重要:現時点では主要LLMベンダーが自動的にLLMs.txtをクロールするとは明言していない
解決策:
- https://example.com/robots.txtを確認し、以下のような記述がないかチェックしてください。
12User-agent:*Disallow:/ - Search Consoleに登録し、サイトマップを送信してクローラビリティを向上
- アクセスログでAI関連のUser-Agentを検索(Claude-Web、GPTBot等)
現状では、LLMs.txtは主に手動での参照や、IDE統合(Cursor、Claude Code等)、Model Context Protocol(MCP)経由での利用が中心です。自動クロールを前提とした即座の効果は期待しすぎないようにしましょう。
Markdown構文が崩れている
H1やH2が正しく認識されず、記号(#や>)がそのまま表示されているのもよくあるエラーです。
原因:
- 必須のH1タイトル(#)がない
- 見出し記号(#)の後にスペースがない
正:# サイト名
誤:#サイト名 - リンクの記法が間違っている
正:[テキスト](URL)
誤:[テキスト] (URL):スペースがある
誤:(URL)[テキスト]:順序が逆 - [ ]や( )を全角で入力する
- 全角スペースが混入している
- ブロッククオート (>)を付け忘れる
複数行にわたる説明で一部の行でブロッククオート (>)を付け忘れるミスが多い
解決策:
Markdown記法に則って修正を行い、Markdownバリデーターでチェックします。例:MarkdownLivePreview.dev
ブラウザで見ると古い内容が表示される
LLMs.txtを更新したのに、ブラウザで見ると古い内容が表示される症状です。
原因:
- ブラウザのキャッシュが残っている
- CDN(CloudflareやFastly等)のキャッシュ
- サーバー側のキャッシュ
Webサイトは表示速度を上げるために、一度表示したコンテンツを一時的に保存しておくキャッシュという仕組みを利用しています。これは非常に便利な機能ですが、時として更新の妨げになることがあります。
解決策:
- ブラウザの強制再読み込み
Windows:Ctrl + F5
Mac:Command + Shift + R - シークレットモード(プライベートブラウジング)でアクセス
- CDNを使用している場合、CDN管理画面からキャッシュをパージ
WordPressの場合、キャッシュプラグイン(WP Rocket、W3 Total Cache等)のキャッシュをクリア - アップロード後、1〜2時間待つ(サーバーキャッシュの有効期限)
LLMs.txtのファイルサイズが大きすぎると警告が出る
推奨サイズは10KB以下(約5,000文字)です。それを超える場合は、説明文を簡潔にするか、llms-full.txtに詳細を移動しましょう。
ファイル内のコンテンツへのリンクが404エラー
基本的には絶対パス(https://example.com/page)を推奨しますが、相対パス(/page)でも動作する場合が多いです。ただし、AIの処理によっては絶対パスのほうが確実です。
また、公開されているページのみを含めましょう。会員限定コンテンツや管理画面へのリンクは含めないでください。
画像やPDFへのリンクも可能ですが、ページ(HTML)へのリンクを優先し、補足的に使用しましょう。
別ドメインへのリンクは含めても構いませんが、基本的には自サイト内のリンクに限定するのが無難です。
AIが間違った情報を引用する
LLMs.txtは情報源を示すだけで、AIの出力内容を直接制御することはできません。元ページの内容を修正し、LLMs.txtで最新ページへ誘導するのが正しいアプローチです。
LLMs.txtの効果をなくす5つの隠れエラー

「ファイルの中身は完璧なはずなのに、なぜかうまくいかない」。もしそう感じているなら、問題はファイルの外側、つまりサーバーの設定や技術的な環境にある可能性が高いです。これらは目に見えにくいため、原因特定が難しい「隠れたエラー」と言えます。
ここでは、専門家でなければ見落としがちな技術的な問題点を掘り下げていきます。
MIMEタイプの不一致
LLMs.txtの場合、MIMEタイプはtext/plainでなければならない、というルールがあります。MIMEタイプとは、サーバーがブラウザやクローラーに対して「これから送るファイルは、こういう種類のデータですよ」と伝えるための識別ラベルのようなものです。
例えば、HTMLファイルならtext/html、画像ならimage/jpegといった具合です。
サーバーの設定によっては、.txtファイルがtext/htmlなど、意図しないMIMEタイプで送信されてしまうことがあります。そうなると、AIクローラーは「これはプレーンなテキストファイルではないようだ」と判断し、内容を無視したり、誤って解釈したりする可能性があります。
MIMEタイプは、Google Chromeなどのブラウザの開発者ツールで簡単に確認できます。
- https://あなたのドメイン/llms.txtにアクセスします。
- ブラウザで右クリックし、「検証」または「調査」を選択して開発者ツールを開きます。
- 「ネットワーク(Network)」タブを選択します。
- ページを再読み込みすると、リクエストのリストが表示されます。
- リストからLLMs.txtを探してクリックします。
- 表示された詳細情報の「ヘッダー(Headers)」タブ内にある、「レスポンスヘッダー(Response Headers)」のcontent-typeという項目を確認します。
ここがtext/plainになっていれば問題ありません。もし違う値になっていた場合は、サーバーの管理者やホスティング会社に連絡し、.txtファイルのMIMEタイプをtext/plainに設定してもらうよう依頼する必要があります。
プラグインの競合
WordPressのようなCMS(コンテンツ管理システム)を利用している場合、この問題は特に注意が必要です。SEO対策のために、複数のプラグインを導入しているケースは多いでしょう。
近年、主要なSEOプラグインもLLMOへの対応を進めており、LLMs.txtを自動生成する機能を持つものが増えてきました。もし、あなたがLLMs.txtを専門に生成するプラグイン(例:「Website LLMs.txt」)と、同様の機能を持つ汎用SEOプラグイン(例:「Yoast SEO」)を同時に有効にしていると、2つのプラグインがLLMs.txtの管理権を奪い合うという事態が発生します。
その結果、どちらの設定が反映されるか分からなくなり、意図しない内容が出力されたり、最悪の場合、ファイルが正常に機能しなくなったりします。
LLMs.txtを管理するプラグインは必ず1つに絞りましょう。どちらのプラグインをメインで使うかを決め、もう一方のプラグインではLLMs.txtに関する機能を無効(オフ)に設定してください。
情報過多
LLMs.txtを作成する際によくある間違いが、サイトマップのようにサイト内の全URLをリストアップしてしまうことです。しかし、LLMs.txtの目的は、AIに厳選された価値あるコンテンツを提示することにあります。
すべてのブログ記事、タグページ、お知らせページなど重要度の低いURLまで含めてしまうのは意味がないどころから逆効果になりかねません。
情報量が多すぎると、AIは結局どのページが本当に重要なのか判断できなくなります。
あなたのビジネスの核となるサービスページ、製品ページ、専門性を示す最も権威あるコラム記事、顧客が必ず参照する導入事例など、「これさえ読めば我が社のことが分かる」という10~20ページに絞り込むのが理想です。
コンテンツの陳腐化
Webサイトは生き物です。新しいサービスが追加され、情報が更新され、新しいブログ記事が公開されます。LLMs.txtを一度作成して、そのまま放置していませんか?
古い情報や、今ではもう提供していないサービスのページへのリンクが残っていると、AIはそれを基に誤った情報を生成してしまう可能性があります。
LLMs.txtを生きたドキュメントとして扱い、組織としてのコンテンツ戦略の更新プロセスに組み込みましょう。新しい主力サービスページを公開したらLLMs.txtに追加する、古い記事のURLを変更したら修正するなど常にサイトの現状と同期させることが重要です。
robots.txtとの矛盾
LLMs.txtとrobots.txtは、どちらもAIやクローラーと対話するためのファイルですが、その役割は全く異なります。
robots.txtは、アクセスコントロールのためのファイルです。いわば、「このエリアには立ち入らないでください(Disallow)」という指示を出す役割 を持ちます。
robots.txtでアクセスを禁止しているページをLLMs.txtで案内してしまう、と言った矛盾がないように設計しましょう。LLMs.txtに記載するURLは、すべてrobots.txtでアクセスが許可されていることを確認してください。
LLMs.txtのエラーを迅速に発見・検証する方法

エラーの修正と戦略の見直しが完了したら、最後に行うべきは「検証」です。ここでは、簡単な目視チェックから専門的な技術チェックまで、4つのレベルに分けた検証プロセスを紹介します。
レベル1:目視チェック(ブラウザ)
最も簡単で、しかし不可欠な最初のステップです。
- ウェブブラウザを開く
- アドレスバーにhttps://あなたのドメイン/llms.txtと入力してアクセスします。
- 画面に、あなたが作成したLLMs.txtのテキスト内容がそのまま表示されることを確認してください。
ウェブサイトのヘッダーやフッターなどのデザインが表示されることなく、プレーンなテキストだけが表示されていれば成功です。
ここで404エラーが出たり、違うページにリダイレクトされたりする場合は、まだファイルの設置場所やサーバーの設定に問題が残っています。
レベル2:技術チェック(開発者ツール)
次に、目には見えない技術的な情報が正しいかを確認します。これは、先ほど「隠れエラー」のセクションで紹介したMIMEタイプの確認の応用です。
- LLMs.txtのURLにアクセスした状態で、ブラウザの開発者ツールを開きます(右クリックから「検証」など)。
- 「ネットワーク(Network)」タブを開き、ページを再読み込みします。
- LLMs.txtのリクエストを選択し、「ヘッダー(Headers)」タブを確認します。
ステータスコードで200 OKと表示されていることを確認します。403 Forbiddenや500 Internal Server Errorなどが表示されている場合は、サーバー側の権限設定や設定エラーが考えられます。
レベル3:自動チェック(オンライン検証ツール)
手動での確認に加えて、第三者のツールを使って構文の正しさを客観的にチェックすることも有効です。LLMs.txtの仕様が新しいため、まだツールは多くありませんが、いくつかのオンライン検証(Validator)ツールが存在します。例:MarkdownLivePreview.dev
これらのツールにあなたのLLMs.txtのURLを入力すると、H1やブロッククオートの欠落、Markdown構文の間違いなど、基本的な仕様違反を自動で検出してくれます。
ただし、これらのツールはあくまでファイル内の構文をチェックするものであり、サーバー設定(MIMEタイプなど)や戦略的な内容の妥当性までは判断できない点に注意してください。
レベル2と組み合わせて使うことが重要です。
レベル4:実世界でのチェック(上級者向け)
最終段階として、実際にAIクローラーがあなたのLLMs.txtを認識しているかを確認する方法です。これにはサーバーの知識が少し必要になります。
サーバーのアクセスログを確認し、GPTBot(OpenAI)、ClaudeBot(Anthropic)、Google-ExtendedなどのAIクローラーからのアクセス履歴を探します。もし、これらのクローラーが/llms.txtにアクセスした記録があれば、あなたのファイルがAIの世界に認識された確かな証拠となります。
ただし、ここで一つ非常に重要な注意点があります。LLMs.txtはまだ比較的新しい提案であり、すべてのAIクローラーがこのファイルを参照するとは限りません。
したがって、アクセスログに記録がないからといって、あなたの設定が間違っていると結論づけるのは早計です。これは未来への投資であり、先行対応です。
現時点でログに記録がなくても、設定を正しく行っておくことに大きな価値があります。
まとめ
本記事では、LLMs.txtの設定で発生しがちなエラーについて、その原因と解決策を網羅的に解説してきました。単純な構文ミスから、見落としがちなサーバー設定、そして効果を左右する戦略的な視点まで、多角的に問題を捉えることの重要性をご理解いただけたかと思います。
LLMs.txtは、機械が読むための厳密なルール(Markdown構文)に基づいています。H1やブロッククオートなどの必須項目、正しいリンク形式を守ることが基本中の基本です。
また、技術的に正しいだけのファイルでは不十分です。どのコンテンツをAIに「見せる」かという戦略的なキュレーションこそがLLMs.txtの真価を引き出します。
正しく、そして戦略的にLLMs.txtを運用することで、競合他社に先んじてAIとの良好な関係を築くことができるでしょう。
LLMs.txtの設置は、LLMO戦略の重要な一部です。もし、この一歩を確実なビジネス成果に繋げるための戦略にご興味があれば、私たち専門コンサルタントがお手伝いできます。
いつでもお気軽にご相談ください。
よくある質問
LLMs.txtは完璧なはずなのに、AIが自社サイトについて間違った回答をします。なぜですか?
LLMs.txtは、AIに対する強力な案内ですが、絶対的な命令ではありません。AIモデルは、LLMs.txtの情報だけでなく、ウェブ上の膨大な情報源や過去の学習データをもとに回答を生成します。そのため、他の情報源の影響を受けたり、時には情報を誤って組み合わせる「ハルシネーション(幻覚)」を起こしたりすることがあります。
また、前述の通り、AIクローラーがあなたのllms.txtをまだ巡回・反映していない可能性も十分に考えられます 。LLMs.txtを正しく設置することは、AIによる誤解を減らすための重要な一歩ですが、即座にすべての回答が完璧になるわけではない、と理解しておくことが大切です。
生成ツールを使いました。それでもエラーチェックは必要ですか?
はい、絶対に必要です。 LLMs.txt生成ツールは、Markdown構文を正しく生成する上では非常に便利です 。しかし、ツールができるのはファイルの中身を作ることまでです。
- サーバーが正しいMIMEタイプで配信しているか
- ファイルの設置場所が正しいか
- キャッシュがクリアされているか
- そもそも、リンクとして選んだコンテンツが戦略的に適切か
といった、ファイルの外側の問題はチェックできません。ツールはあくまで補助として活用し、この記事で紹介した検証ツールキットを使った最終確認を必ずご自身の目で行うようにしてください。
