キーワードカニバリゼーションって本当に悪?
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SEO業界で「キーワードカニバリゼーション」という言葉を耳にすることがあります。もしかすると、この記事を読んでくださっている方の中にはSEOコンサルタントから聞いたことがある用語かもしれません。
しかし、キーワードカニバリゼーションは具体的に何を指すのでしょうか?また、なぜそれが問題とされるのでしょうか?本当に問題なのでしょうか?
キーワードカニバリゼーションとは?
キーワードカニバリゼーションとは、一つのウェブサイトが同じキーワードまたは関連キーワードで複数のページを制作し、それぞれのページが検索エンジンのランキングを競うことを指します。
例えば、あるサイトで「アイスクリーム おすすめ」というキーワードでランキングを上げようとしているとします。しかし、そのサイト内には「チョコレートアイスクリーム おすすめ」、「バニラアイスクリーム おすすめ」、「フルーツアイスクリーム おすすめ」といった複数のページがあるとします。
この場合、それぞれのページが「アイスクリーム おすすめ」のランキングを競う形になっていれば、キーワードカニバリゼーションが発生します。これはまるで同じサイト内のページが、同じ食物(キーワード)を巡って競争するかのような状況を生み出すので問題になるとされています。
元々は人肉食を意味する「カニバリズム」「カニバリゼーション」を使って表現されていることからも分かるように、避けなければいけないネガティブな状況として長らくみなされていた状況があります。
なぜキーワードカニバリゼーションが問題とされるのか
キーワードカニバリゼーションが問題とされる理由は主に3つの側面があります。
SEOへの影響
キーワードカニバリゼーションが問題とされる理由は、主にそのSEOへの悪影響からです。検索エンジンは同じサイト内の複数ページが同じキーワードをターゲットにしていると、どのページを表示すべきか混乱する可能性があります。
その結果、検索結果のランキングで該当ページが低い位置に留まったり、順位が不安定になったりすることがあります。例えば、特定のクエリーで5位と10位に自社サイトの別のページが表示されてカニバリゼーションが発生している場合、もし評価がどちらかのページに集中していればもっと上位に表示される可能性があるという考え方です。
ユーザー体験への影響
キーワードカニバリゼーションはユーザー体験にも影響を与える可能性があります。同じキーワードで複数のページが作られていると、ユーザーは必要な情報を探すのに手間取ることがあります。
それぞれのページには異なる情報が含まれている可能性があるため、ユーザーはそれぞれのページを見比べて最も役立つ情報を探す必要が出てきます。
これはユーザーにとって時間と労力を必要とし、結果としてサイトの使い勝手を悪化させる可能性があります。
内部リンクと外部リンクへの影響
キーワードカニバリゼーションによって、内部リンクと外部リンクの効果も分散されてしまうかもしれません。同じキーワードをターゲットにした複数のページがあると、それらのページへのリンクは一箇所に集中するのではなく、分散してしまいます。これにより、各ページの権威が弱まり、SEOのパフォーマンスが低下する可能性があります。
キーワードカニバリゼーションは本当に問題なのか?
ここまでは、キーワードカニバリゼーションに関して説明されている記事などで当然の真実のように説明されている内容でした。
確かに、同じキーワードを狙って複数ページを制作することはSEO評価が分散しますし、無駄な工数をかけているように思えるかもしれません。しかし、同じキーワードで検索するユーザーの検索意図はすべて同じでしょうか?いいえ、同じキーワードでも異なるニーズ、つまり複数ニーズが存在していることがあるのではないでしょうか?
もし、同じキーワードに潜んでいる複数のニーズが推測される場合、Googleはどのように検索画面を作っているのでしょうか?そこらへんを、弊社で定点観測しているいくつかのクエリーの実際の検索結果から検討してみました。
ノーマルタイプ:1~10位→10ドメイン
上記はいわゆる標準的な検索結果1ページ目です。
リスティング広告が最上位に表示され、そのあとにSEO結果が1~10位に表示される形です。10サイトからページがピックアップされています。
同一サイトから複数ページランクイン
上記は「銀座 水道つまり」の検索結果です。興味深いことに、ここでは2番目と5番目のサイト内から2ページずつピックアップされて表示されています。
同じような例が以下の「東大阪 トイレつまり」でも観察されます。
4番目のサイトから2ページ表示されていることが分かります。表示上も同一サイト内で2つ目に表示されているページは、頭にインデントが入って、あくまでも同一サイト内からのピックアップであることが分かるようになっています。
ポジティブなキーワードカニバリゼーション
この状態はいわゆる「キーワードカニバリゼーション」とは少し異なります。厳密にはキーワードカニバリゼーションが発生してしまいますが、各ページが独自の情報を提供している場合、このような構造がユーザーにとって価値あるものとなり、SEOに対して必ずしも悪影響を及ぼさないことがあります。
あえて複数ページを表示させるSEO効果とは?
悪影響どころか、限られた検索結果画面で他サイトに比べてより広い面を確保していることから、SEO戦略では成功と言えるでしょう。
SEOの主要な目的は、ウェブサイトを検索エンジンで高くランク付けし、その結果としてより多くのトラフィックを引き付けることです。あえて複数のページを表示させる戦略は、ウェブサイトの全体的な可視性を高める効果があります。
特定の検索クエリに対してウェブサイトの複数のページが表示されると、ウェブサイト全体の認知度が向上し、その結果、トラフィックの増加につながります。また、特定のトピックに関して多面的な情報提供をしているサイトだという明確なアピールになります。つまり、現在グーグルが高く評価する要素である専門性と信頼性を促進することになるでしょう。
SEO評価を分散せずに複数ページを上位表示する方法
複数のページを表示させつつ、SEO評価を分散させないための基本原則は、「各ページが独自の価値を持つようにする」ことです。
同じキーワードを狙いながらも、少しずつ検索意図をずらして、それぞれの検索意図に対応したページを作成することによって、意図的に「良い」キーワードカニバリゼーションを狙って引き起こすのも立派なSEO戦略です。
これは、各ページが検索エンジンとユーザーにとって有用な、独自の内容を提供することを意味します。
SEO評価を保ちつつ複数ページ表示を実現するために、具体的には以下の手法が考えられます。
キーワードの異なるバリエーションを用いる
同じトピックでも、異なる角度からアプローチすることで、様々な検索クエリに対応できます。これにより、各ページが異なるキーワードに対するリソースとして認識され、SEO評価の分散を防ぐことができます。
例えば、上述の「銀座 水道つまり」の検索結果で2ページ表示されている株式会社クリーンライフ様は以下の2ページが上位表示されています。
ファーストビューのビジュアルが似ているので少しわかりにくいのですが、同じ「銀座 水道つまり」というクエリーに対して、「排水管のつまり」と「下水のつまり」という少しずらしたキーワードのバリエーションをつけています。このように、同一クエリーに対して、異なるアングルからアプローチすることでSEO評価を分散させるどころか、集中させて何倍にもすることができるでしょう。
ページの構造的キャラクターにバリエーションをつける
同じく上述の「東大阪 トイレつまり」で複数表示されている株式会社ネットKEN様のページもよい例です。
どちらのページも、東大阪でのトイレつまり修理業者おすすめランキングページです。一見キーワードのバリエーションがついていないように見えるかもしれません。しかし、実は最初のページは、おすすめ業者に関する長期的なランキングページとして作られています。費用相場や業者の選び方、費用を安くする方法などユーザーが普遍的に必要とする情報が掲載されています。
2番目のページは、2023年5月の業者ランキングの性格で作られており、よりシンプルなランキングページの構造をしています。費用相場や業者の選び方などの情報はあえて載せられていません。
このように、同じキーワードを狙うコンテンツでも、異なるニーズや記事構造で作成しているのであれば、良いキーワードカニバリゼーションを誘起できるでしょう。
10位でも1ページ目に表示されない?
もう一つ興味深いのは、上述の「東大阪 トイレつまり」クエリーでは1位~10位ではなく、1位~9位(8サイト)までしか表示されていない点です。
最近のグーグルは1ページ目に10ページ掲載しない場合が少なくありません。つまり、GRCなどの検索順位チェックツールで10位と表示されたからと言って、必ずしも1ページ目に表示されているとは限らないということです。
主に以下のような要素が1ページ目に表示された場合に、オーガニック検索結果が少なくなるようです。
● 上位ページでサイトリンクが追加表示されている
● 上位にニューストピックが挿入されている
● 上位に画像検索結果が挿入されている
この問題については、別途ご説明することになるかと思います。
まとめ
キーワードカニバリゼーションは、一時SEOコンサルの間でもバズワード、キラーワードとして盛んに使われていました。どちらかというとネガティブな文脈で用いられている用語でした。でも、実はあえてキーワードカニバリゼーションを狙って引き起こすことでより効果的なSEO戦略として活用できるかもしれません。
このように、SEOの世界は昨日の常識が今日の非常識、逆もまた然りです。最新のSEO戦略情報収集、SEOの外注化、または内製化における伴走型サポートに興味ある方は弊社にお気軽にご相談ください。