2024年SEO業界重大ニュース
2024年のSEO業界も、天空の気象と同様に暴風、豪雨、熱波が吹き荒れた1年でした。コアアルゴリズムの更新から生成AIの統合まで、Googleの動きは目まぐるしく、多くのウェブサイト運営者が対応に追われました。
今年1年のSEO動向を振り返ることで、Googleのこれからの動きを予測する礎としてみましょう。
主に以下の7項目を軸に2024年のSEO業界を振り返りたいと思います。
- Googleのアルゴリズムアップデート
- モバイルファーストインデックスへの完全移行
- 生成AIを組み込んだ検索エンジンSGE
- 寄生サイトに手動対策の制裁開始
- Googleの検索アルゴリズムに関する内部文書リーク
- 3rd Party Cookieの廃止を撤回
- サイトリンク検索ボックスの終了
Googleのアルゴリズムアップデート
2024年、Googleは3月、8月、11月、12月の4回にわたってコアアルゴリズムアップデートを実施しました。これらのアップデートの傾向と影響について、詳しく説明します。
2024年3月のコアアップデート
3月6日から4月19日にかけて実施されたアップデートは、複数のコアシステムに変更が加えられた複雑なものでした。主な特徴と影響について説明します。
このアップデートはスパム対策の強化に焦点を当てました。クリックを誘うためだけに作成された薄っぺらいコンテンツの評価を下げ、ユーザーにとって真に有用なコンテンツを重視する方向性を示しました。
このアップデートにより、低品質コンテンツやスパム行為に対する新しいポリシーが導入されたと言えるでしょう。
2024年8月のコアアップデート
8月15日に開始されたアップデートは、小規模サイトや独立系サイトなど、独自で有用なコンテンツを作成しているサイトが注目される可能性が増えるアップデートとなりました。
また、引き続き検索パフォーマンス向上のためだけに作成されたコンテンツを減らし、ユーザーにとって本当に役立つコンテンツを増やすことに焦点を当てています。
このアップデートは、高品質で独自性のあるコンテンツを重視する傾向が強まったと言えるでしょう。
2024年11月のコアアップデート
11月12日に開始されたアップデートでは、AIコンテンツの評価方法が大きく変更され、人間による適切な編集や監修が必要であることが明らかに示されました。実体験に基づく情報がより重視されることが明確になったのです。
2024年12月のコアアップデート
12月13日に開始され、19日に完了したこのアップデートは、まだ明確な傾向が顕著になったわけではありませんが、特に「健康と医学」と「財務、金融」分野でのキーワード順位変動幅が大きくなりました。
このアップデートでは、E-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼性)の重要性がさらに高まったと言えます。
全体的な傾向と影響
2024年のコアアップデートを通じて、以下の傾向が見られました。
- ユーザー重視:クリックを集めるためだけのコンテンツではなく、ユーザーにとって真に有用なコンテンツが評価される。
- 専門性と信頼性の重視:特に医療や金融分野で、専門家による監修や実体験に基づく情報が重要視される。
- AIコンテンツへの対応:単なるAI生成コンテンツは評価が下がり、人間による適切な編集や監修が必要となった。
- 小規模・独立系サイトへの配慮:独自の有用なコンテンツを提供する小規模サイトや独立系サイトが注目される可能性が高まった。
- E-E-A-Tの重要性:経験、専門性、権威性、信頼性を示すコンテンツがより高く評価されるようになった。
モバイルファーストインデックス(MFI)への完全移行
2024年7月5日、Googleはモバイルファーストインデックス(MFI)への完全移行を実施しました。これにより、パソコン用Googlebotによるクロールとインデックスが完全に終了しました。
完全移行により、モバイルデバイスでアクセスできないサイトはGoogleの検索結果からインデックスや順位付けの対象外となる可能性が高くなりました。スマートフォン用Googlebotがクロールできないコンテンツは、たとえパソコン用サイトに存在していても、インデックスされなくなります。
ウェブサイト所有者は以下の点に注意する必要があります:
- レスポンシブWebデザインの導入
- モバイルでの表示速度の改善
- モバイルユーザー体験(UX)の最適化
- コアウェブバイタル(Core Web Vitals)スコアの改善
生成AIを組み込んだ検索体験AI Overview(旧SGE)
2024年5月14日、Googleは検索結果表示に生成AIによる回答を組み込んだSGEの正式版として「AI Overview」を発表しました。SGEは、2023年からβ版として一部ユーザーに使用されていました。
SGEが「Search Labs」の限定機能だったのに対し、AI Overviewは登録不要で全ユーザーが利用可能になりました。複雑なクエリへの対応、プラン作成機能、動画検索機能などが追加されました。
2024年10月28日、Googleは「AI Overview」を世界100カ国以上で展開すると発表しました。この急速な展開により、月間ユーザー数は10億人を超え、グローバルな影響力を持つ機能となりました。
Googleが寄生サイトに対する手動対策の制裁を開始
2024年3月、Googleは新しいスパムポリシー「サイトの評判の不正使用」を発表しました。このポリシーは、寄生サイトやドメイン貸しなどの行為を対象としています。2024年5月5日から、Googleはこの新しいスパムポリシーの適用を開始しました。
主に以下の行為が対象となっています。
- 寄生サイト(Parasite SEO)
- ドメイン貸し
- サブディレクトリを利用した第三者コンテンツの掲載
これらは、ホストサイトの評価を利用して検索ランキングを操作する行為とされています
Googleは当初、手動と自動の両方による対策を行うと発表していましたが、まずは手動による対策から開始しました。Googleは、「現在は手動の対応のみを行っています」と述べています。
実際に、多くの大手サイトや寄生サイトでネガティブな順位変動が確認されています。
Googleの検索アルゴリズムに関する内部文書リーク
2024年5月、Googleの検索アルゴリズムに関する大規模な内部文書がリークされ、SEO業界に大きな衝撃を与えました。約2,500ページに及ぶGoogle検索に関する内部文書が流出し、ランキング要素に関する詳細情報が含まれていたと話題になりました。
これまでのGoogleの公式発表と矛盾する情報が多数含まれており、SEOの常識が覆される可能性も指摘されています。
例えば、ランキング要素の数は、これまで約200と言われていましたが、この文書によると実際は14,000以上存在することが示唆されていました。また、GoogleがChromeブラウザから収集したユーザーデータを検索ランキングに利用していることが判明しました。
2024年5月30日、Googleは文書の信憑性を認める声明を発表しました。ただし、文脈から外れた、古い、または不完全な情報に基づいて不正確な推測をしないよう注意を促しました。
Chromeブラウザにおける3rd Party Cookieの廃止方針を撤回
2024年7月22日、GoogleはChromeブラウザにおける3rd Party Cookieの廃止方針を撤回し、新たなアプローチを導入すると発表しました。当初、Googleは「プライバシーサンドボックス」と呼ばれる代替技術の開発を進めていましたが、実装が想定よりも難しく、業界からのフィードバックも考慮して方針を変更しました。
また、3rd Party Cookieの廃止により、ユーザーの行動追跡や広告効果測定が困難になることへの懸念が特に広告業界から強く表明されていました。
3rd Party Cookieが継続して使用可能になることで、ユーザーの行動追跡やサイト間のデータ連携が引き続き可能となります。これにより、SEO戦略を立てる際のユーザー行動分析がこれまでと同様に行えます。
Googleは「ユーザーが選択できる新しいアプローチ」を提案すると述べており、プライバシー保護の重要性は変わりません。SEO専門家は、ユーザーのプライバシーを尊重しつつ、効果的なコンテンツ戦略を立てる必要があります。3rd Party Cookieに依存しすぎず、ファーストパーティーデータの活用やAI技術への対応、高品質なコンテンツ作成を中心とした戦略を継続して推進する必要があります。
サイトリンク検索ボックスの終了
2024年、Googleはサイトリンク検索ボックスの終了を発表しました。サイトリンク検索ボックスは、2014年9月に導入された機能で、Google検索結果ページ上で特定のウェブサイト内を直接検索できるツールでした。
ランキングや他のサイトリンクの視覚要素には影響しません。また、リッチリザルトレポートからもサイトリンク検索ボックスが削除されました。と言っても、サイトリンク検索ボックス用の構造化データの削除は不要です。
これからは、内部検索機能の強化やその他のリッチリザルトを活用したSEO施策を検討する必要があるでしょう。
まとめ
2024年のSEO動向を振り返ると、Googleが目指す方向性が明確になってきました。それは、より深い専門性と実体験に基づいた信頼性の高いコンテンツを重視する流れです。特に医療や金融など、人々の生活に直接影響を与える分野では、専門家の知見が不可欠となっています。
今後のSEO施策を検討される際は、業界の専門家との協力体制を構築することをお勧めします。また、技術的な最適化やコンテンツ戦略の面で不安がある場合は、専門家に相談することで、より効果的な対策を見出せる可能性があります。
弊社スリードットは、純粋な「SEO専業」ではありませんが、SEOを含めた総合格闘技としてWebマーケティングの支援をさせていただいております。最新のWebマーケティング情報収集、SEOの外注化、または内製化における伴走型サポートに興味ある方は弊社にお気軽にご相談ください。