ドメイン貸し・寄生サイトがなくならない理由


12/8に著名な有名SEOコンサルタント リリー・レイ氏がX(旧Twitter)で発信したポストが注目を集めました。簡単に要約すると、「最良のVPN」(best VPN)というビッグクエリ(しかもコンバージョンに近い高価値クエリ)でハーバード大学のサブドメインのページが1位に表示されているという報告でした。

上記画像にあるようにscholar.harvard.eduというハーバード大学のサブドメインを使っていることが分かります。決して「偽ドメイン」の類ではなく、ドメイン自体はれっきとしたハーバード大学の内部ページです。

しかし、中身はいわゆるアフィリエイト記事です。当然、ハーバード大学がVPNサービスを公式に徹底調査してアフィリエイト記事を作成したとは思えません。ハーバード大学とは関係のない誰かが、ハーバード大学のサブドメインを使って記事を作ったようです。内部学生が作ったブログサイトのドメインが流用された可能性が指摘されています。

そして、Googleはハーバード大学のドメインパワーを評価して、この記事をビッグクエリで1位に置いたと思われます。(もちろん、実はスーパー高品質な中身が評価されたのかもしれませんが、その可能性は低いです)この問題については、リプライでGoogle公式アカウントも乱入(?)して、以下のように言い訳(?)をしました。

Googleは、このケースがいわゆる「寄生サイト」である可能性が高いことを認めています。しかし、基本的にはドメインを貸した側(ハーバード大学)が問題に対処することを望んでいます。

ここで出てくる「ドメイン貸し」、または「寄生サイト」とは何でしょうか?今回のメールでは、初心者向けに「ドメイン貸し」と「寄生サイト」の定義、生まれた背景、リスクについて説明します。

ドメイン貸し・寄生ドメインとは?

ドメイン貸しは、既存のウェブサイトのドメインを第三者に貸し出す行為です。SEO価値の高いドメインを他者に貸し出すことで、そのドメインパワーを利用する戦略です。サブドメインやディレクトリを提供して、新しいサイトの信頼性を高め、検索エンジン結果でのランキング向上に寄与することを狙います。

例えば、古くから存在して評価の高い教育関連のウェブサイトが、他の新しい教育サービスサイトにサブドメインやディレクトリを提供するケースがこれにあたります。ほとんどのケースでは、自分のドメインのサブドメインやディレクトリを第三者に有償で貸し出し、アフィリエイトサイトなどを作っています。

ドメイン貸しと寄生ドメインの違い

ドメイン貸しは合意の下で行われるのに対し、寄生ドメインは無断で行われることが違いです。ドメイン貸しは両者間の合意に基づきます。寄生ドメインは他者のウェブサイトを不正に利用する行為となります。上述のハーバード大学の例は、どうやら寄生ドメインになる可能性が高いようです。

ドメイン貸しに対するGoogle公式見解

上記のリリー・レイ氏のポストの流れのGoogle公式コメントに噛みついたのが一連のポストを見ていた他のSEO関係者。慌てて(かどうかわかりませんが)Google公式はドメイン貸しについて以下のように表明しました。

これまでも、これからも悪質なドメイン貸しについては厳正に対応する(してきた)とのことです。

Googleは人工的なリンク構築を推奨していません。実は、ドメイン貸しが「人工的なリンク構築」にあたるのかどうかは微妙なところです。今のところは、サブドメインやディレクトリはGoogleガイドラインに違反する「可能性がある」というのが大方の見方です。寄生ドメインは、他のウェブサイトの権威を不正に利用する行為と見なされ、Googleのポリシーに反する可能性が高いです。

少し前のポストになりますが、2019年のGoogle公式アカウントは、いわゆる寄生ドメインについて質問された答えのポストでも以下のように答えています。

メインサイトとドメイン貸しされたサイトは明確に区別して評価することを表明しています。しかし、2023年現在でもそれを確実に実行する施策、手法が明確に確立されたとは思えません。だからこそ、今回のハーバード大学のようなケースが起きたと思われますが、少なくともGoogleはドメイン貸しに対して快く思っていないことは確かです。

2023年アルゴリズムアップデートでの対応

2023年のGoogleのアルゴリズムアップデートにおいては、特に品質と信頼性に重点を置く動きが見られます。特に、GoogleのE-E-A-T(Expertise, Experience, Authoritativeness, Trustworthiness)基準やHelpful Content Updateなどの最近のアップデートは、ウェブサイトの内容の質に重点を置いています。

これは、寄生ドメインやドメイン貸しによって作成されたコンテンツがGoogleの検索結果において厳しく評価されるであろうことを意味します。

Googleは、ユーザーにとって有益かつ信頼できるコンテンツを重視しており、寄生ドメインやドメイン貸しに依存するSEO戦略は、長期的には効果が低いでしょう。

ドメイン貸しや寄生ドメインを利用するよりも、オリジナルで価値のあるコンテンツを提供し、ユーザーのニーズに応えるSEO戦略を取ることが、Googleのアルゴリズム更新に対応する上でより効果的でしょう。

ドメインを貸す側のリスク

Googleのガイドラインに明確に反するとされた場合は、寄生サイトだけでなく、メインのドメインごとランキング低下やインデックスからの除外を招く恐れがあります。

また、ウェブサイトの品質と信頼性を低下させ、ブランドイメージに損害を与える可能性があります。特に、ウェブサイトが関連性のない内容や低品質のコンテンツで溢れることになると、ユーザーの信頼を失いかねません。

加えて、ドメインを貸し出すことにより、寄生サイトが引き起こした著作権侵害やその他の法的問題に巻き込まれるリスクがあります。例えば、著作権で保護されたコンテンツが無断で使用されることがあれば、法的責任を問われる可能性があります。

ドメインを借りる側のリスク

Googleによって寄生サイトと明確に判定されれば、ペナルティを受けるリスクがあります。これにより、ウェブサイトの検索エンジンランキングが著しく低下する可能性があります。Googleは、高品質で信頼できるコンテンツを重視しており、これらの基準に合致しないウェブサイトは長期的に不利な影響を受ける可能性が高いでしょう。

まとめ

弊社スリードットは、純粋な「SEO業者」ではありませんが、スタッフのなかに「Googleの公式ガイドライン」オタクが揃っています。お客様からドメイン貸し(または借りること)について質問をいただくことも少なくありません。

ドメイン貸しは、短期的な利益をもたらす可能性がありますが、Googleのガイドラインに違反するリスクが高く、長期的にはウェブサイトの信頼性やランキングに悪影響を与える可能性が高いです。

ドメイン貸す側と借りる側が一体となって密接に連携して、内容の濃いサイトを展開していく戦略なら、ドメインを共有して運用することは一概に非とは言えません。しかし、持続可能で倫理的なSEO戦略を採用することが、長期的な成功には重要です。Googleのガイドラインに違反するリスクにびくびくしながらサイト運用するよりは、高品質で信頼できるコンテンツを自社ドメインで展開していく方がリスクは低いでしょう。

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