GoogleがFAQとHowtoリッチリザルトの検索結果縮小

2023年8月9日、GoogleはFAQ(よくある質問)とHow-to(ハウツー)のリッチリザルトの表示方法を変更すると発表しました。具体的には、FAQリッチリザルトは、よく知られていて信頼のおける政府ウェブサイトおよび医療ウェブサイトでのみ表示されるようになりました。
他のサイトでは、このリッチリザルトは通常表示されなくなります。一方、HowToリッチリザルトは、モバイルデバイスでは表示されず、コンピューターのユーザーのみに表示されるようになります。

リッチリザルトとは?

リッチリザルトは、Googleなどの検索エンジンが提供する特別な検索結果の表示形式です。ページ作成の際にサイト制作者が添付した構造化データを使用してページの内容を分類し、追加情報を検索結果画面に表示します。
通常の検索結果画面で表示される記事タイトルと記事の概要に付加的な情報を追加することで、ユーザーに対してより魅力的な検索結果を提供し、ウェブサイトとの相互作用を促進することができます。

リッチリザルトの種類

リッチリザルトには以下のような種類があります。今回のGoogleの発表で影響を受けるのは4のFAQスニペットと5のHow-Toスニペットですね。
1. 特集スニペット (Featured Snippets):ユーザーの質問に直接答える情報を提供します。段落、リスト、表などが含まれることがあります。
2. 画像スニペット (Image Snippets):検索結果に画像を表示するものです。
3. 評価 (Star Ratings):製品やサービスの評価を星で表示します。
4. FAQスニペット (FAQ Snippets):よくある質問とその回答を表示します
5. How-Toスニペット (How-To Snippets):特定のタスクの手順を表示します。
6. 製品スニペット (Product Snippets):製品の価格、在庫状況、レビューなどの情報を表示します。
7. ビデオスニペット (Video Snippets):ビデオコンテンツへのリンクと短い説明を表示します。
8. イベントスニペット (Event Snippets):イベントの日付、場所、説明などの情報を表示します。
9. レシピスニペット (Recipe Snippets):料理のレシピ、調理時間、評価などの情報を表示します。
10. 求人スニペット (Job Posting Snippets):求人情報の詳細を表示します。
11. ローカルビジネススニペット (Local Business Snippets):地域のビジネスに関連する情報を提供します。
12. ソフトウェアアプリスニペット (Software App Snippets):アプリの評価、価格、プラットフォームなどの情報を表示します。

FAQ構造化データとは?

FAQ構造化データは、特定のトピックに関連する一連の質問と回答を含むページをマークアップするためのものです。正しくマークアップされたFAQページは、Google検索のリッチリザルトとして表示される可能性があります。

HowTo 構造化データとは?

HowTo 構造化データは、コンテンツがハウツーであることを Google に明示するために使用します。 ハウツーとは、あるタスクを正しく完了するための一連のステップを、順を追ってユーザーに説明するもので、動画、画像、テキストを利用できます。

リッチリザルトをコントロールする構造化データとは?

リッチリザルトで表示される記載の元となる構造化データは、ウェブページのコンテンツに関する情報を標準化された形式で提供するものです。
Googleは、ウェブ上で見つかる構造化データを使用してページのコンテンツを理解します。特別な検索結果の機能や強化も可能にします。Google検索はJSON-LDという形式の構造化データを推奨しています。

Googleが構造化データ推進に積極的な理由

構造化データは、ウェブページの内容を検索エンジンに対して明確に説明するための方法です。Googleがこのデータを解析することで、検索結果の精度を向上させることができます。
また、検索結果にリッチスニペット(評価星、価格範囲などの追加情報)を表示することにより、ユーザーにとってより魅力的な検索結果を提供できます。
さらに、人工知能(AI)と機械学習を検索アルゴリズムに積極的に取り入れているGoogleにとって、構造化データはウェブページの内容を理解し、より効率的に分析する手助けをします。

弊社でも構造化データに関する問い合わせ急増

ページ作成者側で、比較的簡単に検索エンジン(Google)にページ内容を正確に伝えることができるので構造化データの設定が一気に広まりました。
弊社でも、クライアントから高頻度で構造化データの実装に関する問い合わせを受けましたし、実際にクライアントのサイトで適切な構造化データを選定し、実装してきた実績が多くあります。特にFAQ構造化データについては、比較的実装が容易であり、その割にページ内容を分かりやすく検索エンジンに伝えられる仕様のため人気がありました。
多くのSEOコンサルタントがFAQ構造化データの設定をクライアントに売り込んでいたようです。また、「FAQ構造化データの設定が簡単」と謳うプラグインを販売する業者も多かったので、これらのツールの需要も今後変動するでしょう。

なぜFAQ構造化データを狙い撃ちで変更?

一部サイトでのFAQ構造化データの乱用が見られたのも事実です。前述のとおり、比較的実装が容易なわりに、ページ内容を効率よく検索エンジンに伝えられる仕様だったからです。
低品質のページに構造化データを詰め込んで、情報量の「水増し」を行ったり、ページ内容的にFAQがふさわしくないのに、またはページのなかにFAQセクションがないのにFAQ構造化データを実装しているページもあったようです。ここらへんは、2000年代にSEO業界で隆盛を誇った、ディスクリプションタグやメタキーワードにキーワードを詰め込むワードサラダ手法と似たようなものかもしれません。Googleとしては、構造化データの乱用誤用に関して、厳格な対応が必要だと判断したものと思われます。

なぜ構造化データがSEOで重要なのか?

構造化データを設定することには、以下2つのメリットがあります。
1. ウェブページの内容を検索エンジンに効率的に伝える
2. リッチリザルトの表示を可能にする→検索結果画面で占有面積を増やせる
リッチリザルトは、SEO戦略の一部として非常に重要です。これにより、検索エンジンでの視認性が向上し、クリック数が増加し、ユーザー体験が向上します。リッチリザルトの効果的な実装は、競合他社との差別化とブランドの強化にも寄与する可能性があります。
今回のGoogleの方針変更で影響を受けるのは上記の2の方です。一部記事では1と2を混同して、構造化データ自体が終了したかのような印象を与える記事も出回っているようなので気をつけてください。

今回の変更でどんな影響があるか?

HowToリッチリザルトについては、今後デスクトップ版のみに表示され、モバイルでは表示されなくなります。元々モバイルでの表示が少なかったため、大きな変化とは言えないかもしれません。
FAQリッチリザルトは、政府機関や権威性の高い医療系サイトページからの情報のみが適用されるようになります。一般的なサイトページは表示されなくなるため、これまでの露出の機会が減少します。ランキングには影響を与える変更ではありませんが、検索結果画面での画面占有率が低下しますので、クリック率への影響が懸念されます。

今回の変更に中小企業・商店はどのように対応すべきか?

Googleは、構造化データを削除する必要はないとしています。使用されていない構造化データによって検索で問題が発生することはなく、目に見える影響もありません。
FAQ構造化データのリッチリザルト化を期待できなくなるため、純然たるタイトルと説明文でクリック率勝負ができるようになり、コンテンツの良質化に集中できるかもしれません。HowToとFAQの構造化データとリッチリザルト化は2019年5月に始まりましたので、4年前に戻ると考えれば良いかもしれません。
FAQ構造化データは、検索結果に表示される機能としては縮小されましたが、検索エンジンにページの内容を効率よく伝える機能としては依然有効と予測されます。このため、中小企業や商店は引き続きこの機能を活用する方針を検討するべきでしょう。
ただし、FAQ構造化データを簡単に設定する目的だけに重いワードプレスプラグインやテーマを使っている場合は方針変更を検討する必要があるかもしれません。弊社では、プラグインに頼ることなく、簡単にFAQ構造化データを実装する手法をお勧めしています。お気軽にご相談ください。

まとめ

FAQ構造化データは引き続き「隠れ」重要機能として存在し続けると思われるため、現在導入している方は引き続き活用していく方がよいでしょう。変更の詳細とその影響を理解し、適切な対応を計画することが重要です。
最近はAIによる自然言語解析技術を使って、Webページのコンテンツをより正確に理解できるようになっています。もしかすると、数年後には、FAQ構造化データはまったく不要になるかもしれません。それくらいSEO業界の移り変わりは速いものです。それでも、検索エンジンと読み手に明確に要点と構造を伝えるという概念は変わらないでしょう。
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