非店舗型・出張型ビジネスの開業を検討中の方も少なくないでしょう。しかし「何から始めればいいのか分からない」「集客の方法が分からない」「フランチャイズで始めたもののメリットが感じられない」といった声をよく聞きます。
弊社でもハウスクリーニング、水道修理や害虫駆除など出張型ビジネスの経営者からのお問い合わせが増えていますし、実際に集客の支援をさせていただいています。
本記事では、弊社のプロコンサルタントが、非店舗型・出張型ビジネスのビジネスモデル、種類、成功のノウハウを具体的事例とともに提供します。非店舗型ビジネス成功の決定的ポイントは「集客力」にあります。
ぜひ参考に自分なりの非店舗ビジネスを確立していただければと思います。
非店舗型・出張型ビジネスの戦略を練る際の具体的な疑問や懸念があれば、お気軽に弊社コンサルタントにご相談ください。
目次
非店舗型・出張型ビジネスとは?
非店舗型・出張型ビジネスは、実店舗を持たずにサービスを提供するビジネス形態です。最近ではITの発達により、さまざまな業種でこのタイプのビジネスが増えてきています。
非店舗型・出張型ビジネスには大きく分けて2つのメリットがあります。
- 低コストでの参入が可能
店舗賃料や設備投資が不要なため、比較的少ない初期投資で事業を始められます。 - 場所と時間の制約がなくなる
お客様のご自宅やオフィスに出向いてサービスを提供できるため、営業エリアと対応時間帯を大幅に拡大できます。
一方で、非店舗型・出張型ビジネスではマーケティング力が必要不可欠であり、自社のサービスを「知ってもらう」「選んでもらう」ための工夫が欠かせません。
非店舗型・出張型ビジネスのビジネスモデル
非店舗型ビジネスには様々な事業形態がありますが、大きく以下の4つに分類できます。
必ずしも一つのビジネスモデルに依存する必要はなく、出張型ビジネスモデルを取りながら、エージェントモデルで手数料モデルを得る組み合わせビジネスモデルも可能です。
出張型ビジネスモデル
お客様の場所に直接出向いてサービスを提供するモデルです。移動や装備のコストはかかりますが、対面でアピールできる利点が大きいモデルといえます。
医療・福祉、教育、家事サービスなど幅広い分野で採用されています。例えば、マッサージ業があげられます。施術者がお客様の自宅や職場に赴いてマッサージを提供することで、対面での付加価値提供が可能です。移動コストや施術の個人差への対応力が課題になります。
また、訪問介護サービスも人気です。介護者が高齢者の自宅を訪問し、身の回りのお世話や生活支援を提供します。対面での信頼関係が得られる反面、サービス範囲・回数・時間の設定が課題になります。
そのほか、訪問歯科医や害虫駆除、自宅での修理サービスなどが出張型ビジネスの事例としてあげられます。共通の特徴として、お客様の場所への移動コストがかかる反面、対面でサービスをアピールできる利点が大きいです。
近年ではITを活用した予約管理システムの活用などにより、業務効率の向上が図られています。
フランチャイズモデル
全国的なチェーン展開を行う大手企業のフランチャイズに加盟する形態です。加盟店は本部からのノウハウやブランド力を活用できる反面、加盟料やロイヤリティーを支払う必要があります。
多くの場合、安定した収益性が見込まれる反面、加盟条件や業務指針に縛られるデメリットがあります。
エージェントモデル
自社ではなく他社のサービスを代理で提供するモデルです。自社の営業力を活かして手数料収入を得ることができますが、主力サービスの質や料金改定の影響を大きく受けます。
エージェントモデルの事例として、各生保会社の取扱代理店があります。代理店は生保商品を自社の営業チャネルで販売する代わりに、販売時の手数料収入を得ることができます。生保会社の商品力やサポートによっては安定収入が期待できる一方、商品内容や販売条件の急な変更に対応するリスクが伴います。
コミッションベースモデル
お客様を斡旋することで発生する商談の成約金額に応じたコミッションを得るモデルです。自社の専門性を活かした斡旋がポイントになります。
コミッションベースの例として、フリーランスの保険代理店があげられます。独立系代理店は保険会社と提携せず、顧客を自ら開拓し保険商品を紹介することで、成約時の手数料収入を得ます。
専門性の高い営業力が必要ですが、報酬面では自由度が高く設定できるメリットがあります。
オンライン系ビジネスモデル
ウェブサイトやSNSを活用し、自社のサービスや商品を直接販売するオンラインビジネスです。低コストで多くの顧客にリーチできる一方、魅力的なサイト制作が必要不可欠です。
オンラインビジネスの代表例は、自社ECサイトによる商品販売です。低コストで全国的に販路を拡大できる一方、サイト構築・運用能力や効果的なプロモーションが欠かせません。
非店舗型・出張型ビジネスに向いている業種
出張型・非店舗型ビジネスには、大きく分けて次の2つの種類があります。
サービス業系
家事代行サービスや自宅で受けられる様々なサービスが該当します。以下のような人的サービスから高度専門職サービスまで非常に幅広いジャンルで出張型・非店舗型事業が展開されています。
- 訪問介護サービス
- 出張車検サービス
- 出張自動車買取サービス
- 訪問掃除サービス
- 自宅設備の修理や交換サービス
- 自宅で受けられるマッサージや鍼灸
- 訪問理容室、美容室
- 害虫や害獣の駆除
共通の特長として対面でのサービス提供を行うため、お客様との信頼関係が極めて重要な点があげられます。
サービス業では、訪問による家事支援から趣味活動まで、日常生活に密着した人的サービスが提供されます。専門職では、高度な専門スキルを生かしたサービスが個人や企業の依頼主に提供されます。
専門職コンサルティング系
経営コンサルタント、社会保険労務士、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家がお客様先に出向いて専門的な助言を提供する形態です。高度な知見と対人対応力が同時に必要とされるビジネス領域といえます。
以下に例を挙げます。
- 税理士、社労士による出張法律・労務相談
- ファイナンシャルプランナーによる出張資産運用提案
- 自宅で受けられる健康診断サービス
- 経営コンサルティング
教育系
非店舗型の教育ビジネスには、遠隔地とのオンライン授業に加え、生徒の自宅などに出向いて行うプライベートレッスン(習い事教室)やワークショップなどがあります。
代表的な事例として以下が挙げられます。
- 自宅でのヨガ、パーソナルトレーニング
- 英会話やプログラミングなどのスキル習得コース
- 音楽や美術、スポーツなどの指導
- 学校の教科補習、家庭教師
- 趣味や技能を習得できる出張ワークショップ
教育業では、習い事から生涯教育まで多岐にわたる教育サービスが出張の形で展開されています。育児との両立や感染症に対する懸念など受講環境に合わせた柔軟なサービス提供が強みです。
飲食業系
飲食店舗以外で展開できる非店舗型ファストフード事業として、共同利用のシェアキッチンを活用した移動販売やクラウドキッチンによる出張調理教室などがあります。低コストで参入できる移動販売車やシェアキッチンは新たな業態として最近人気の業態です。
低コストで参入できる反面、移動地域の制限や利用客数の確保など経営課題が存在します。
小売業系
非店舗型小売業には、ECサイトによるネットショップや期間限定の物販イベント出店、展示会へのブース出展などが主な業態です。特に「ポップアップショップ」と呼ばれる形式で、空き店舗やイベント会場を一時的に利用する小売りも増加傾向にあります。
低コストかつ効果的なプロモーション効果が魅力です。
非店舗型・出張型ビジネスで効果的な集客方法
非店舗型・出張型ビジネスで実績を上げている効果的な集客方法について説明します。
SNSの活用
非店舗型・出張型ビジネスは実店舗がない分、SNSを活用した情報発信とプロモーションが自社サービスを「知ってもらう」最短の経路です。地域性の設定や写真/動画コンテンツを通じた個性的な発信が可能というメリットがあります。
反面、対面での品質訴求が難しいことが課題となるでしょう。実績やスタッフ紹介の投稿に加え、お客様向けの生活情報発信で日常生活に密着したサービスであることをアピールする工夫が欠かせません。
SNS広告
FacebookやTwitter、InstagramといったSNSは、地域性や属性を設定してターゲティング広告を出稿することが可能です。また業種特性に合わせた画像や動画コンテンツでの情報発信も重要なポイントとなります。
反応データを分析し、キャンペーン改善に活かすPDCAサイクルの実践が成果向上の鍵を握ります。
SNS広告運用では予算対効果の綿密な管理が必要です。自社アカウントのフォロワー拡大や口コミ拡散など、SNS上でのプロモーションとの好循環をいかに構築するかが持続的な集客力向上につながります。
Googleビジネスプロフィールの活用
GoogleマップやGoogle検索の知名度の高さを利用し、自社の存在感を高めることができます。住所、電話番号、事業内容といった基本情報に加え、画像ギャラリーや営業時間、料金表などを掲載することが可能です。
非店舗型・出張型ビジネスの場合、実店舗がない分、Googleプロフィールでの存在アピールが欠かせません。配達エリアの設定やサービス内容、スタッフ紹介などを可能な限り掲載し、ユーザー目線での訴求力を高めることがポイントです。
非店舗でもGoogleビジネスプロフィールに登録可能?
非店舗型・出張型ビジネスの場合、実店舗がないことからGoogleへの登録ができないのではないかと疑問を持つ方も多いでしょう。しかし配送先やサービスエリアを登録することが可能なので、登録自体に問題はありません。
ただし、店舗情報がなくともサービス内容は明確に提示する必要があります。ユーザー目線での判断材料をできる限り提供し、信頼性の疑われないような情報設計が欠かせません。画像や動画、スタッフ紹介などの掲載を通じて、自社の魅力を前面に押し出すことが重要だと言えます。
ウェブサイトやブログの活用
非店舗型・出張型ビジネスにとって、自社サイトは自社の「顔」となる大切な存在です。自社のウェブサイトやブログは、会社情報やサービス内容を詳細に掲載できるため重要なマーケティングツールです。
実店舗がない分、ウェブ上での表現力が信頼度や品質イメージを左右します。写真や動画を使ったサービス内容の具体的なアピールができる点が大きなメリットです。
加えて、ユーザーが疑問に感じるであろう点を事前想定したFAQや具体例の提示を設けることで疑問点への対応力もアピールできます。文字情報のみでは伝えきれない対面サービスの良さを、映像を通じて感性的に訴求しましょう。
ウェブサイトやブログではSEO対策や関連サイトとの相互リンクなど、運用面での継続的な改善がポイントです。
非店舗型ビジネスにおいては従来型以上に、ウェブ上での表現力が品質イメージや集客力に直結することを踏まえて、戦略を立案する必要があります。
口コミとネットワークの構築
非店舗型・出張型ビジネスは対面サービスが中心だけに、お客様の口コミが品質イメージを左右する要因です。良い口コミほど集客力が期待できる反面、悪い口コミが瞬時に拡散するリスクも高いです。
こうした事業特性を踏まえ、綿密なアフターフォローとお客様満足度の徹底が欠かせません。同業者との連携や地域とのつながり構築により、自然な露出拡大を図る好循環の仕組みづくりが対策の要です。
さらに非店舗型の弱点である存在感不足を、ターゲット属性と地域性を絞ったWEB広告やDMなどで積極的に補完する施策も求められます。単なる知名度向上を超えて、コミュニティとの一体感醸成こそ持続的成長への道筋といえるでしょう。
非店舗型・出張型ビジネス運営上の課題とは?
非店舗型・出張型ビジネスでは、参入障壁が低い分市場競争が非常に激しくなりがちです。自社の個性や付加価値をいかにして対外的にアピールし、差別化を図るかが経営課題の要となります。
競合との差別化
非店舗型・出張型ビジネスの大きなメリットである営業地域や対応時間のフレキシビリティをいかに生かすかがポイントです。競合と棲み分けを図る地域特化や対象属性の絞り込み、細分化されたニーズへの密着型サービス提供など、自社ならではの領域拡大が差別化の肝となります。
SNSやウェブ活用での戦略的プロモーション、実績や口コミの蓄積といった定量・定性両面の訴求力強化も欠かせません。非店舗型ビジネスの際立つ弱点である「存在感の希薄さ」をいかに克服し、自社の個性を際立たせるかが成長への要諦といえます。
対人感性による顧客ニーズの把握
非店舗・出張型サービスでは、提供する商品そのものが“人”である場合が多く、対人感性が事業成長の要です。しかし対面機会が限定的であることが課題でもあります。
この点、事前の綿密なヒアリングときめ細かなアフターフォローが欠かせません。単発の商談ではなく継続的な関係構築を志向し、サービス提供を通じて明らかになるであろう潜在ニーズの掘り起こしも大切です。
また、自社サービスの領域を越えた幅広い生活支援ニーズを把握する努力も、信頼関係の構築と口コミ拡大に好循環を生みます。非店舗型サービスにおいて最も重要視されるのが、こうした“人”としての付加価値なのです。
新規顧客とリピーターのバランス
非店舗・出張型ビジネスでは、対面的なサービス提供ゆえにリピーターの比重が大きいのが特性です。しかし、リピートのケアに特化しすぎると成長が頭打ちになります。
宣伝広告費の配分などを通じ、新規顧客開拓とリピーター維持のバランスを両立する施策が求められます。自社ならではのサービス領域の拡大や新メニュー開発など、提供価値の磨き上げこそが持続的成長への道筋であると考えます。
価格戦略とサービス品質の両立
非店舗・出張型ビジネスは、値頃感と品質の両立をいかに図るかが経営課題といえます。
非店舗・出張型ビジネスの大きな魅力は、移動コストが不要な分安価な料金設定が可能な点です。しかし激しい競争の中、過度の低料金志向はサービス品質の低下を招きかねません。
自社の強みを活かした領域や対象属性の絞り込みによる特化戦略が重要です。顧客セグメントごとに競合との差別化要因を明確にし、妥協しない部分のさらなる磨き上げを図ることが必要不可欠でしょう。
トータルなサービス品質こそ、非店舗型ビジネスの生命線であることを肝に銘じ、人材教育や業務改善に努めることが欠かせません。
非店舗型・出張型ビジネスをフランチャイズで始めるメリットとデメリット
非店舗型・出張型ビジネスをフランチャイズで始めようと検討している方も多いかと思います。フランチャイズで始めるのは何となく安心、と思っている方も多いようですが、きちんとメリットとデメリットを言語化して把握することは欠かせません。
フランチャイズモデルの利点
非店舗・出張型フランチャイズの大きなメリットは、本部の持つノウハウやブランド力を利用できる点です。営業マニュアルやITシステムの活用により、事業立ち上げ時のリスクを最小限に抑えられます。
また、本部による宣伝広告や人材育成などの後方支援も安定性の確保につながります。必要な立ち上げ資金面でのメリットも大きく、加盟店にとっては比較的参入しやすいビジネスモデルといえます。
フランチャイズ起業に向いている人・業種
起業初心者やビジネス経験の少ない人にはフランチャイズ形式がお勧めです。本部のノウハウを借りつつ経験を積むことができます。
業種としては、人的サービスが中心の分野ほど本部のマニュアル活用で安定感が高まります。例えば訪問介護や家事代行、福祉車両サービスなど、サービス内容がマニュアル化しやすい非店舗型ビジネスがフランチャイズのメリットを享受しやすいでしょう。
はじめて起業する方やサービス提供の標準化が図りやすい業種ほど、フランチャイズを選択するメリットは大きいといえます。
フランチャイズモデルで注意すべきデメリット・リスク
フランチャイズのデメリットとして、本部への加盟料や売上ロイヤリティの継続支払いが挙げられます。特にロイヤリティーは売上にかかわらず固定支出となるため、経営環境の変化に対し増益が望みづらい側面があります。
対策として、加盟前のより慎重な精査が欠かせません。本部と加盟店の利害がうまく調整されているか、ロイヤリティー以外のメリットが十分確保できているかを詳細に確認する必要があります。
フランチャイズ起業に向いていない人・業種
自らのアイデアやノウハウを活かしたい人や、拘束性が仇となりうる場合は、フランチャイズ規模のメリットより自主性が優先されるべきでしょう。
以下のようなケースが考えられます。
フランチャイズ起業に向いていないケース例 | 理由 |
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介護サービスで自らのノウハウを生かした新サービス | 本部の標準仕様からの逸脱が制限される可能性 |
地域に特化した高齢者食事サービス | 全国展開志向の本部との狭間で活動が制限される可能性 |
単発依頼主向けの移動マッサージサービス | 本部への固定資金負担がネックになる |
得意先と連携したテイクアウト弁当販売 | 本部の標準メニューや販売マニュアルにとらわれる |
一人親方のタクシー運転手が培った人脈を生かして送迎サービス | 固定的資金負担は重しとなる |
このように自らの個性やアイデア、人的ネットワークを最大限活用したい起業家にとっては、フランチャイズのメリット以上に自由度の制約がネックとなるリスクがあるといえます。
まとめ
非店舗・出張型ビジネスは低コストでの参入が魅力的ですが、集客力が命運を握ります。オンラインとリアルの融合で差別化し、知名度と支持を獲得するにはどうすればいいのでしょうか。
本記事では実践的な戦略とノウハウを提供しました。ぜひ参考に自分だけの非店舗ビジネスを確立してください。
疑問点・不明点があればお気軽に弊社コンサルタントにご相談ください。
非店舗・出張型ビジネスでのよくある質問
非店舗・出張型ビジネス開業で気をつけるべき点は?
- 実店舗がない分、ウェブやSNSでの露出が欠かせない
- サービス品質の徹底と口コミ拡散が信頼の構築に重要
- 地域限定の差別化や対象者の絞り込みもポイント
効果的な非店舗・出張型ビジネスの集客方法は?
- GoogleマップやSNSを活用した露出拡大
- 実績やスタッフの掲載で信頼性向上
- 口コミを拡散するためのアフターフォロー