訪問マッサージの開業を検討している多くの方が、成功するためのノウハウ不足への不安を抱えているのではないでしょうか?店舗を構えなくとも開業できる代表的な出張型ビジネスである訪問マッサージは開業のハードルは比較的高くありませんが、いくつかのコツを抑えることで軌道に乗せるまでのタイムラグを限りなく短くできます。
本記事では、開業経験者の実体験に基づき、失敗しにくい開業の方法を具体的事例とともに丁寧に解説しています。訪問マッサージ開業に伴うリスクを最小限に抑え、安定した事業基盤を構築するための指針が得られます。ぜひご一読いただき、慎重な開業準備をすすめてください。分からないことがあれば気軽に相談してください。
非店舗型・出張型ビジネスの戦略を練る際の具体的な疑問や懸念があれば、お気軽に弊社コンサルタントにご相談ください。
目次
訪問マッサージ開業のメリットとデメリット
訪問マッサージとは、マッサージ師が客先に出向いて施術を行う形態のマッサージです。訪問先は、顧客の自宅や事業所、ホテルなど様々です。
ビジネスとしての訪問マッサージのメリット、デメリットについて説明します。
訪問マッサージの開業のメリット
訪問マッサージは他の出張型サービスと比較しても以下のようなメリットがあります。
- 専門性が高く顧客単価を相対的に高く設定しやすい
- 施術機器などの初期投資が少なく済む
- 施設賃料が不要なため開業コストを抑えられる
- 自分のペースで勤務時間を調整できるため、ワークライフバランスが良好
- 自宅以外でも気軽に施術ができるため顧客層が広がる
- 移動しながら施術できるためアクティブな働き方ができる
資格取得のハードルも低く、比較的参入しやすい出張型ビジネスだと言えます。特に時間の裁量権が高いことから、子育てしながらでも開業しやすい職種であると言えます。
訪問マッサージの開業のデメリット
一方で訪問マッサージには以下のようなデメリットもあります。
- 移動時間や移動コストが自費である
- 施術時間が長く1日の勤務件数に限界がある
- 時間管理が難しく収入が不安定になりやすい
- 身体的な負担が大きい
特に移動や設営の負担を軽減するためのノウハウが必要不可欠です。
訪問マッサージ開業に必要な資格や資金は?
訪問マッサージを開業するには、あん摩マッサージ指圧師の国家資格が必要です。あん摩マッサージ指圧師の資格取得には、文部科学省管轄の養成施設で3年間以上の講習、そして、国家試験への合格が必要になります。
鍼や灸をメニューに加える場合は、はり師ときゅう師の国家資格が必要です。あん摩マッサージ指圧師と同じように、専門学校での勉強と国家試験合格が必要です。
訪問マッサージの開業に必要な資金は?
訪問マッサージの開業では、以下の経費が必要となります。
- 開業手続き経費: 20~30万円
- 移動用チェアや小型マッサージベッド等の購入費: 20~50万円
合計で最低50万~80万円程度の自己資金が必要でしょう。
訪問マッサージの開業の手順と流れ
訪問マッサージの開業の典型的な手順を説明します。
開業する形態を決める
開業時の形態として、法人設立と個人事業主の2つがあります。訪問マッサージの事業では、基本的に個人事業主の形で開業するケースがほとんどです。
個人事業主の場合は手続きが簡易で開業準備期間を短縮できますが、無限連帯責任を負うリスクがあります。法人に比べると決算や納税の手続きはシンプルです。
法人設立のメリットは、個人と会社の資産分離ができる点です。万が一の債務超過時にも個人の資産が保護されます。一方で、設立には弁護士・税理士などの専門家に依頼する必要があるため初期コストが嵩みます。
コンセプトや資金・事業計画書を作成する
開業にあたっては、自分が提供したいサービスのコンセプトを明確にすることが重要です。
例えば、料金を抑えた低価格路線なのか、設備を充実させた高級路線なのか、サービス提供エリアは広域なのか限定的なのか、といった方針を決めます。
そして、予測資金需要と回収計画を立て、銀行など外部機関からの資金調達が必要か検討します。もし、金融機関からの資金調達が必要な場合は事業計画書を作成します。
訪問マッサージの事業計画書では、以下の点に特徴があります。
- 顧客ターゲットを絞り込む(高齢者、病院勤務者等)
- サービスエリアを自宅からのアクセスできる範囲に設定
- 初期投資額が少なく済む点を強調
- 施術メニューや料金体系を事前に設定
銀行への融資交渉では、移動時間の確保や混雑エリアの回避などによる稼働率と売上の安定性を説明することがポイントとなります。
資金を調達する(自己資金や融資など)
訪問マッサージの開業に必要な資金は、前述の通り最低でも50万円程度で済みます。店舗開業に比べ家賃負担が少ないメリットを生かし、比較的少額の自己資金で開業する「スモールスタート」を選ぶマッサージ師も増えています。
自己資金が十分でない場合は、日本政策金融公庫や民間金融機関からの創業関連融資を利用するケースがほとんどです。
人材を確保する(必要に応じて)
訪問マッサージの事業では、基本的に個人事業主の形で開業するケースがほとんどです。しかしながら、事業拡大に伴い1人で抱えきれない案件が増えてきた場合、助手やパート従業員の雇用が必要になります。
雇用のポイントとして、マッサージ師の資格を持つ人材が望ましいものの、人件費の関係から資格のないアシスタント的人材の確保を選択する場合も多いです。また、家事支援サービスとの相互送客提携など、人材派遣会社との提携により対応する方法もあります。
各種手続き・届出を行う(税務署や保健所など)
訪問マッサージの開業にあたっては、以下の届出・申請手続きが必要です。
- 保健所への出張施術業務開始届
- 税務署への開業届出(個人事業主)
- 確定申告・消費税申告の提出(開業後)
備品を購入する(施術用具や消耗品など)
訪問マッサージの場合、店舗開業と比べて初期投資が抑えられる利点があります。しかしながら、移動に便利で搬送しやすい以下の機材を購入する必要があります。
- 収納しやすい高さ調節機能付のマッサージベッド
- 小型で機動性の高いマッサージチェア
消耗品もオイル、ローション、タオルなど移動用のキットにまとめて揃えます。事務用品や清掃道具も車両に常備しておくことをおすすめします。
また、携帯電話とモバイルWi-Fi、契約書類を管理できるタブレットも重要な開業資材です。移動効率を上げるためには多少の初期投資は必要不可欠でしょう。
訪問マッサージの開業で集客に成功する方法
意外に、初期段階での集客を重視せずに開業してしまう方が多いようです。しかし、まずは集客です!
ホームページやSNSなどのWeb集客
訪問マッサージの集客においても、ホームページやSNSを活用したWebマーケティングが最も重要です。
具体的なWeb集客の成功ポイントは以下の通りです。
- 地域限定のキーワード設定
- 施術実績や顧客満足度がわかる写真や口コミの掲載
- 住所や最寄駅からのアクセス情報など分かりやすい内容
- 予約フォームや問い合わせフォームの設置
- 更新頻度の高いブログなどによるコンテンツの充実
- マッサージ師のプロフィールや人柄がわかる自己紹介
- マッサージ師の人間性をアピールできるブログ
- サイト内の相談窓口を充実させ、気軽に質問しやすい雰囲気づくり
可能な限り潜在顧客の不安や疑問に応える情報を盛り込むことが必要です。併せて、FacebookやTwitter、Instagram等のSNSとの連携も欠かせません。
訪問マッサージのWeb集客では、マッサージ師個人の顔が見えることが重要ポイントです。マッサージ師個人の「人の目線」を前面に出した内容拡充がカギです。
チラシやポスティングなどのリアル集客
訪問マッサージのリアル集客で効果的なのが、地域の病院や診療所、高齢者施設などへの営業活動です。このような場所で以下の投函ポスティングを実施します。
- 顔写真入りの個人チラシやパンフレット
- 施術実績やお客様の声が掲載された事例集
- 体験施術のご優待券
直接受付などに配布することで、病院関係者など重要な目に留まりやすくなります。また地域イベント等での無料体験ブース出店や、町内会掲示板へのサービス案内もリアル集客につながります。
訪問マッサージの開業で利益を上げるためのポイント
訪問マッサージで利益を上げるには、適正な料金設定が必要不可欠です。値段を高くし過ぎると顧客離れする一方、安すぎる設定も最終的には収支の赤字を招きます。
具体的な料金設定の目安としては、以下のような方法が参考になります。
- 同業他社の料金設定を調査
- 自身の移動や施術に必要なコストを計算
- 初回施術からメニュー別会員制プラン等の有料体系を導入
特に会員制は継続施術による安定収入が見込めるため、利益改善に効果的な仕組みです。
訪問マッサージの開業でフランチャイズに加盟するメリット・デメリット
訪問マッサージ業界でも増えているフランチャイズ方式とは、本部組織が事業ノウハウやブランドを加盟店に提供し、加盟店はその対価として加盟金やロイヤリティを本部に支払う事業形態です。
加盟金やロイヤリティの額(や割合)はフランチャイズによって大きく異なります。
メリットとしては、開業準備の負担が大きく減る反面、ノウハウの習得コスト等が加盟金の形で必要となります。また商品や販促ノウハウは本部側に頼れる(依存する)構造でもあります。
一方で、独立開業の場合はすべて自社努力が必要ですが、柔軟な経営判断が可能な利点もあります。
各々メリットデメリットが存在するため、自社の事業特性との整合性を比較検討することが重要です。
訪問マッサージのフランチャイズに加盟する前に注意すべきこと
訪問マッサージのフランチャイズ加盟に際しては、以下の点について事前に十分確認が必要です。
- 加盟条件
- 契約内訳
- 他の加盟店からの口コミ
- 料金体系の縛りがあるか
- 料金体系が地域の相場から乖離していないか
- 専属区域
- 業務独占条項
- 本部の集客方法が実効性のあるものか
細部の契約条件を確認せずに開業資金を投じることのリスクは大きいです。特に名称や料金が本部の指示により固定されるケースもあるため、自社のマーケティング活動に制限が出ないか注意が必要です。
まとめ
訪問マッサージの開業には、十分な事前準備が欠かせません。本記事では、開業のメリットデメリットから必要な資金・設備、具体的な開業手順や料金設定のノウハウ等を実際の成功事例・失敗事例を交えて詳しく解説しました。
マッサージ師の独立開業を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。開業相談も受け付けておりますので、迷うことなくお問い合わせ下さい。
訪問マッサージの開業でのよくある質問
訪問マッサージの開業に必要な資金の目安は?
少なくとも50万円程度の自己資金が必要です。内訳としては開業費用20~30万円、移動用チェアや小型マッサージベッド等の購入費: 20~50万円、合計で最低50万~80万円程度の自己資金が必要でしょう。
訪問マッサージ開業ステージのおすすめ集客方法は?
ウェブサイトやSNSを活用した情報発信が基本です。実績や口コミを掲載し、施術環境を具体的に伝えることが重要です。あわせて病院への営業や地域イベントでの体験会出店などのリアルプロモーションも効果的です。