Googleアルゴリズムの順位要因が新たに流出?
2024年5月、Googleの内部データが大規模に漏洩し、検索エンジンの評価システムの詳細が大きな話題となりました。
そして、今回さらに、イギリスのSEO会社のSEOコンサルタントであるマーク・ウィリアムズ・クック氏がGoogleシステムの脆弱点をハックしたことを発表しました。このハックで得られた2テラバイトにも及ぶこの漏洩データには、9,000万件以上の検索クエリに関する分析結果が含まれており、Googleがウェブサイトを評価する際の2,300以上の判断基準が特定されました。
マーク・ウィリアムズ・クック氏は、このデータを得るのに使われたシステムの脆弱点について、既にGoogleに報告し報奨金を獲得したそうです。(なので信憑性は高そうです。)
YouTubeで、今回発見した知見についてシェアしてくれています。
https://www.youtube.com/watch?v=_AQ9UDqES80
特筆すべきは、これまで推測の域を出なかった「サイト品質スコア」の存在が確認されたことです。さらに、AIコンテンツの台頭により、Googleの評価システムが大きく変革していることも明らかになりました。従来の技術的なSEO対策だけでは、もはや上位表示を維持することが困難になっているのです。
本記事では、この画期的な発見を基に、これからのSEO戦略に不可欠な要素と、実践的なアプローチについて詳しく解説していきます。
合意スコアによるコンテンツ評価
Googleは「合意スコア」という興味深い指標を使って、コンテンツの信頼性を評価しています。これは単なる人気度の測定ではなく、コンテンツの質を判断する精緻なシステムです。
例えば、健康に関する記事を書く場合、医学的な一般合意に沿った内容であれば高いスコアを獲得できます。逆に、科学的な合意に反する内容は、たとえ多くのアクセスを集めていても、低いスコアとなる可能性があります。
特に注目すべきは、Googleが検索クエリの性質によって、このスコアの活用方法を変えている点です。科学的な事実を問う検索では、合意に基づいた情報を優先的に表示します。例えば、「地球の形」と検索された場合には、「地球は丸い」という科学的に証明された事実を支持するページが上位に表示されます。
一方、社会問題や政策など、意見が分かれるテーマでは、異なる立場の情報をバランスよく表示するよう設計されています。例えば、「日本の年金制度の持続性」といったテーマの検索については、様々な見方が上位に表示されるようです。
クエリ分類システムの仕組み
9,000万以上の検索クエリを分析した結果、Googleはすべての検索を8つの基本カテゴリーに分類していることが明らかになりました。
- 短い事実
- はい/いいえの質問(BOOL)
- 他
- 指示
- 定義
- 理論
- 比較
- 重大性(YMYL)
この中で特に重要なのは、「短い事実の検索」と「はい/いいえで答えられる検索」の2つです。このクエリがオーガニック検索の大半を占めているのが現状です。
例えば、「東京の人口は?」といった事実確認の検索や、「犬は色を見分けられるのか?」といった質問は、AIでも直接回答を提供できる方向に進んでいます。この変化は、特に簡単な質問に答えるだけのウェブサイトにとって、大きな課題となるでしょう。
クリック確率予測の重要性
検索結果の表示順位を決定する際、Googleは「このページがクリックされる確率」を予測しています。と言っても、Googleはクリック可能性が「直接」順位に影響を及ぼすとは言ってません。
このクリック確率の予測には、以下のような要素が影響を与えています。
タイトルの魅力度
単なるキーワードの詰め込みではなく、ユーザーの興味を引くタイトルが重要です。例えば、「犬のしつけ方法」よりも「初心者でも成功する犬のしつけ3つのコツ」の方が、クリックされる可能性が高くなります。
ユーザーの検索意図との一致
検索キーワードに対して、ページの内容が的確に応えているかどうかも、クリック確率に大きく影響します。
このように、Googleの評価システムは非常に複雑で多層的です。特に、健康や金融といった重要なテーマ(YMYL)については、より厳格な評価基準が適用されます。これからのSEO対策では、これらの評価システムを理解し、総合的なアプローチを取ることが成功への鍵となるでしょう。
ユーザー行動を意識したコンテンツ作り
かつてのSEOは「検索エンジンのために」コンテンツを最適化していました。しかし今後は以下のように「ユーザーのために」という視点が不可欠です。
- 専門用語を多用するのではなく、わかりやすい説明を心がける
- 表面的な情報ではなく、実践的で具体的なアドバイスを提供
- ユーザーの疑問に先回りして回答を用意する
Googleのサイト品質スコアとは
Googleが、すべてのウェブサイトに0から1までの「品質スコア」を付与していることが明らかになりました。これは私たちが普段目にする検索順位とは異なる、Googleによる内部的な評価システムです。
特に重要なのは、このスコアがサブドメインごとに異なる点です。例えば、「blog.example.com」と「shop.example.com」は、同じドメインでも異なるスコアが付与される可能性があります。これは、企業サイトの構築において重要な示唆を与えています。
品質スコア0.4の重要な意味
サイト品質スコアにおいて、0.4という数値は重要な境界線となっているとのことです。スコアが0.4未満のサイトは、どんなに素晴らしいコンテンツを作成しても、以下の機能を利用できません。
- 検索結果上部に表示される「強調スニペット」
- 「よくある質問」などの特別表示枠
- その他のリッチリザルト(画像付き検索結果など)
つまり、0.4という数値は、Googleの「信頼できるサイト」としての最低ラインを示していると言えます。残念ながら、自社サイトの品質スコアを直接チェックする機能はありませんが、上記のようなスニペットを表示できるかどうかである程度確認できるでしょう。
スコアを決定する3つの重要要素
サイト品質スコアは、主に以下の3つの要素から算出されているとのことです。
- ブランド検索の強さ
例:「NIKE 靴」「NIKE スニーカー」のように、ブランド名と製品カテゴリーを組み合わせた検索がどれだけ行われているか - サイト選択率の高さ
例:検索結果で3位に表示されていても、ユーザーが1位・2位を飛ばしてそのサイトをクリックする頻度 - Web上での信頼性
例:ニュースサイトやブログなど、他のウェブサイトで好意的に言及される頻度
Googleは大手プラットフォームの重視
この課題に対応するため、Googleは「ヘルプフルコンテンツアップデート」を実施し、評価基準を大きく変更しました。新しい評価システムでは、以下のようなプラットフォームが優先されるようになりました。
- Reddit:実際のユーザーによる議論が行われているプラットフォーム
- Forbes:確立された報道機関
- Quora:専門家による回答が蓄積されているQ&Aサイト
例えば、LinkedInは米国で94,000件ものローン関連キーワードでランクインしています。これは、プラットフォームとしての信頼性が、個々のコンテンツの品質よりも重視されるようになった証拠と言えます。
品質スコアを向上させるための実践的アプローチ
これらの要素を踏まえ、品質スコアを向上させるためには以下のような施策が効果的でしょう。
施策の目的 | 施策の内容 |
ブランド認知度の向上 |
|
サイト体験の改善 |
|
業界での存在感向上 |
|
ユーザーとの関係構築 |
|
品質スコアから見える今後のSEO戦略
2022年の「ヘルプフルコンテンツアップデート」以降、Googleはより一層ブランド力を重視するようになりました。これは、単なるキーワード最適化やバックリンク獲得だけでは、高いランキングを獲得することが難しくなっていることを意味します。
これからのSEO戦略では、「SEO技術的な最適化」と「ブランド力の向上」を両輪として考える必要があります。特に中小企業サイトでは、自社の専門分野における確固たる地位を確立することが、これまで以上に重要となってきているのです。
まとめ
今回の記事では、Googleの内部データ漏洩により明らかになった、検索アルゴリズムの新たな側面と、それに対応するための戦略について解説しました。特に、サイト品質スコアや、ユーザーの行動を重視したコンテンツ作成の重要性について、ご理解いただけたかと思います。
記事で触れたように、Googleの検索アルゴリズムは非常に複雑で、常に変化しています。記事内でご紹介した内容は、あくまでも現時点での情報に基づいたものです。また、検索順位に影響を与える要素は多岐にわたり、個々のサイトの状況によって最適な対策は異なります。
そのため、もし今回の記事の内容を踏まえ、自社サイトのSEO戦略をさらに強化したい、あるいは具体的にどのような対策を講じればいいのか知りたいとお考えの場合は、弊社にご相談いただくことをお勧めします。
弊社スリードットは、純粋な「SEO専業」ではありませんが、SEOを含めた総合格闘技としてWebマーケティングの支援をさせていただいております。最新のWebマーケティング情報収集、SEOの外注化、または内製化における伴走型サポートに興味ある方は弊社にお気軽にご相談ください。