株式会社アシロに特化型サイトの成功例を学ぶ

SEO・MEOを含む集客戦略のご担当者にすぐ役立つフレッシュな情報をお届けします。

リーガル系サイトの巨人弁護士ドットコム

リーガル系サイト、いわゆる法律ポータルサイトは数多くありますが、そのなかでも巨人と言えるのが弁護士ドットコムです。地域・路線や相談内容など条件を絞って弁護士を検索できるサービスです。 弁護士の詳細なプロフィール情報をもとに、相談を依頼したい弁護士に費用見積りを依頼できます。

単なる見積依頼サイトに留まらず、読者の悩みやニュースで取り上げられている問題を法律のプロの観点からわかりやすく解説するメディア戦略も巧みです。ハフィントンポストやBLOGOSと言った大手ニュースメディアとも提携して記事を提供しています。読み物コンテンツとしても楽しめ、読者が日常生活で法律に親しみを持てる内容となるような工夫がされているのが特徴です。

実は今回のメルマガの主役は弁護士ドットコムではなく、それに追随するサイトです。しかし、法律系ポータルにあまり詳しくない方もおられると思いますので、まずは弁護士ドットコムがどれだけ巨人サイトなのかご説明します。

国内約半数の弁護士が弁護士ドットコムに登録

上記の資料は弁護士ドットコムのIR資料からの抜粋です。2019年を境に少し伸び悩んでいるとはいえ、月間1200万人を超えるサイト訪問者を誇ります。

登録弁護者数は2万人を超え、2021年6月には21,171人となっています。国内弁護士が4万数千人ですから、およそ半数の弁護士が登録していることになります。登録弁護士のうち4分の1は有料会員となっています。

弁護士ドットコムを追いかけるアシロの特化サイト戦略

今日取り上げる株式会社アシロも、法律ポータルサイトを運営しています。ただし、業界の巨人である弁護士ドットコムにまともに組み合わずに戦う巧みな戦略を敷いています。それが特化サイト戦略です。

アシロでは以下のような法律系の特化サイトを運営しています。

離婚弁護士ナビ、相続弁護士ナビ、労働問題弁護士ナビなど領域別に特化したポータルサイトです。各領域に特化した弁護士の費用見積機能やコラム系の読み物コンテンツというサイト構造では弁護士ドットコムと似ています。

領域を特化することで総合法律ポータルサイトである弁護士ドットコムに対抗できるサイトを作っています。「幕の内弁当」の豪華さで勝てないならば、すごい「唐揚げ弁当」で勝負しようといった感じでしょうか。この戦略は、ここ数年Googleがずっと重視している「サイトの専門性」をより高められる合理的な戦略でもあります。どうしても勝てそうに見えない大手サイトに対抗するために、大手サイトのミニ版を作るのではなく、領域を狭めることで専門性を高めて勝負する良い手本です。

トレンド記事は制作しない→しないことを決める

サイトをぱっと見て分かる違いですが、離婚弁護士ナビ、相続弁護士ナビにはニュース系コンテンツがありません。弁護士ドットコムでは「弁護士ドットコムニュース」として話題の出来事を法律観点で解説するニュースコンテンツが人気です。一方離婚弁護士ナビ、相続弁護士ナビではニュース系のコンテンツは準備されていません。

トレンド系の記事は継続して制作できる体制を構築できれば一定以上の集客を安定して獲得できる方法です。しかし制作管理に手間がかかりますし、記事の陳腐化も早いので永続的な集客コンテンツには向いていません。大手メディアと提携してニュース記事を量産している弁護士ドットコムのメディア戦略は見事です。それ以上に見事なのは、安易に大手サイトの手法を真似していないアシロの戦略です。取り扱う法律というテーマの関係上、日常のニュースを取り上げてアクセス流入を狙うのは手堅い方法に見えるかもしれません。それでも「制作体制を継続できるか」また「集めたアクセスは成約につながりやすい層か」をよく考えて、「できること」ではなく「しないこと」を定めて効率よいサイト集客を行う戦略にかじを切ったのだと思います。

CV(成約)に近い顧客を効率よく集める

ここまで説明したように、アシロの法律ポータルサイトは以下の2つの戦略で弁護士ドットコムに対抗しています。
● 領域を特化した専門性の高いサイトを作る
● 「しないこと」を決めて、よりCV(成約)に近い顧客を集客する
上記戦略の効果がよくわかるのが両社が獲得している検索クエリの差です。

幅広いクエリで集客する弁護士ドットコム

上記が弁護士ドットコムのクエリ獲得状況(Ahrefs調査)です。

指名検索(「弁護士ドットコム」)できっちり集客できているのはさすが業界最大手です。その他に印象的なのは、時事ニュース関連クエリで集客していることです。クエリ数は30万件近く、全体的に幅広いクエリで日常的に集客していることがわかります。さすが月間訪問者数1200万です。普段からサイトの信頼性を高めていき、何かあった時に指名検索で刈り取るサイト戦略がはっきり見て取れます。

少ないクエリ獲得で効率的に成約

以下はアシロの法律系特化サイトの一つ「離婚弁護士ナビ」のクエリ獲得状況(Ahrefs調査)です。

まず、クエリ数が約60,000と弁護士ドットコムのおよそ5分の1しかないのが印象的です。領域を特化していること、時事ネタを取り上げないことで余計なアクセスをあえて集めない戦略が見て取れます。スクショなので見にくいかもしれませんが、さすが離婚などの夫婦問題に特化しているだけあって「モラハラ夫」「離婚したい」「不倫」「離婚手続き」などのビッグワードで軒並み上位を長期で獲得しています。弁護士ドットコムと異なり、時事関連クエリはほとんどありません。離婚問題というと、芸能人の不倫や離婚、結婚などでアクセスを集めやすいトピックでしょう。それでも一切トレンド記事には手を出さないことでライトな読み手の排除に成功していることが見て取れます。

CPCからわかる無駄打ちアクセスは集めない戦略

さらに注目すべきはCPC(Cost Per Click)です。CPCはリスティング広告でクリックするごとに支払う場合の目安広告価格です。高いほど一般的に成約に近い人気クエリになります。弁護士ドットコムでは0.00またはN/Aのクエリが上位の半分以上を占めます。つまり、アクセスを多く集めても、そこから直接CVにはつながりにくいクエリです。4ドル台、5ドル台が数個見られるくらいです。

一方、離婚弁護士ナビではほとんどのクエリにCPCが表示されています。つまり何かしらのCVにつなげる価値があると評価されているクエリです。「浮気」「離婚 弁護士」など7ドル近いCPCを持っている有望クエリも少なくありません。離婚弁護士ナビが無駄打ちアクセスを極力避けて、効率よくCVにつなげようとしていることがわかります。

まとめ

法律ポータルに限らずどの業界であろうと先行大手は存在します。先行大手の成功例は、世間でもサイトの運営側にとっても強烈に記憶に残っているでしょう。自社が後発である場合、安易に先行大手の戦略を模倣していませんか?ジャイアントに立ち向かうために、一点集中で得意分野を攻めるのはサイト集客に限らず効果的な戦略です。株式会社アシロの特化法律ポータルの例に倣って「自社がしないこと」をしっかり定めて、大手とは違うやり方で集客してCVまで持ち込む戦略を活用してみましょう。