自動車リサイクル大手廃車王・カーネクスト・ハイシャルを徹底比較

SEO・MEOを含む集客戦略のご担当者にすぐ役立つフレッシュな情報をお届けします。

カーネクスト・廃車王・ハイシャル公式サイトSEO比較

中古車や廃車、事故車の買取と言ったいわゆる自動車リサイクル業界でしのぎを削る以下3社公式サイトのSEO戦略を比較しました。

  • カーネクスト
  • 廃車王
  • ハイシャル

SEO戦略と述べましたが、実際にはSEOだけでなく全体のマーケティング戦略や傾向が見える興味深いレポートになっているかと思います。

カーネクストはネット企業ならではの戦略

自動車リサイクル大手廃車王・カーネクスト・ハイシャルを徹底比較

大阪のWEBメディア企業である株式会社ラグザス・クリエイトが運営する「カーネクスト」は、2008年に創業しました。インターネット上で低額車を中心とした中古車オークションを行う「スマートオークション」も運営しています。従来の中古車オークションの慣習にとらわれない、ネット専業企業ならではの取り組みで業界に革命をもたらしました。例えば、入札や落札毎にポイントをもらえて、落札車両価格に充当できる仕組みを導入しています。最近ではタレントの朝日奈央さんを起用したTVCMが時間帯を問わず流されているのでほとんどの方が眼にしているのではないでしょうか?

巨大サイトでアクセス流入

自動車リサイクル大手廃車王・カーネクスト・ハイシャルを徹底比較

オーガニックのアクセス量は後述の2社を大きく引き離し、まさに巨大サイトです。被リンク、及びそのドメイン数も群を抜いています。過去2年のパフォーマンスも安定しています。しかし、うがった見方をすれば伸び悩んでいると言えなくもありません。
リスティング広告はこのサイトでは使用されていません。しかし、上記のサービスサイト(carnext.jp)ではなく、運営会社サイト(cmgroup-ziko.com)で大々的に中古車買い取り関連キーワードでリスティング広告に出稿しています。

コンテンツはとにかく幅広く潜在顧客から拾う

自動車リサイクル大手廃車王・カーネクスト・ハイシャルを徹底比較

上記画像はカーネクストでアクセスを集めているキーワードランキングです。それほどCV(成約)に近いキーワードに絞ってアクセスを集めようという強い意図は感じられません。それよりも幅広い層からアクセスを集めることで、カーネクストの信頼性と知名度を上げておこうという意志が感じられます。普段から自家用車に関するお悩みを幅広く拾っておくことで、顧客のカーライフに自然に入り込む戦略だと思われます。

廃車王は古参のネームバリューを生かした被リンク戦略

自動車リサイクル大手廃車王・カーネクスト・ハイシャルを徹底比較

「廃車王を運営している会社は?」と聞かれて答えられるとしたらかなりの業界通でしょう。「廃車王」を運営する株式会社NGPは、自動車リサイクルのパイオニアNGP日本自動車リサイクル事業協同組合という事業協同組合の関連会社です。全国の自動車リサイクル事業者で構成されており、自動車リサイクル業界で経済産業大臣の認可を受けている唯一の全国規模の事業協同組合です。

2005年に「廃車王」の前身である廃車買取サイト「くるマック」の全国展開を開始しました。今回取り上げる3社のなかでは最古参であり、全国津々浦々までネットワークを持つ大手自動車リサイクル業者です。

廃車王はコツコツと被リンクを集めネット広告は使わない

自動車リサイクル大手廃車王・カーネクスト・ハイシャルを徹底比較

廃車王の公式サイトのSEO分析(Ahrefs使用)を見ると際立つのは、24,000本近い被リンク数と参照ドメイン数の多さです。特に参照ドメイン数は残り2社と比較しても群を抜いています。

いわゆる業界別ランキングサイトや、提携していると思われる地方の中古車買い取り店舗やパーツショップなどからまんべんなくトップページへリンクをもらっています。これは、もともと業界の事業協同組合が持っていたネットワークの強みを最大限に生かした戦略でしょう。

地方では特に、自動車リサイクルと言えば「廃車王」という図式が関連業者の中、また一般ユーザーの中でもかなりの程度できあがっている姿がこの分析からわかります。「廃車王」というこれ以上分かりやすくならないサービス名も、ブランディングとしてすばらしいです。「廃」というネガティブワードをサービス名に入れたのは勇気の必要な決断だったかと思いますが正解と言えるでしょう。そのことがさらに明確にわかるのが以下のオーガニック検索で獲得しているキーワード一覧です。

自動車リサイクル大手廃車王・カーネクスト・ハイシャルを徹底比較

廃車王が獲得しているオーガニックアクセスの大きな部分を占めるのは、「廃車」「廃車王」(指名検索)「廃車買取」と言った、サービス名での指名検索、及びそれに近いビッグキーワードであることが見て取れます。しかも、それらをトップページで獲得できています。サービス名のネーミングの妙、そして圧倒的な被リンクによるドメインパワーでビッグワードを抑えています。

CVに近いワードを堅実に抑えるコンテンツ力

指名検索ばかりが目立つ廃車王サイトですが、コンテンツサイトとしての能力の高さも見逃せません。以下のようなより成約に近いと思われる重要ワードで確実に検索上位を獲得していることがわかります。

  • 廃車費用
  • 車 走行距離
  • 軽自動車 寿命
  • ラジエーター 水漏れ
  • 廃車手続き

これだけ大きなサイトでありながら、成約から遠いキーワードでの空撃ち記事が驚くほど少ないのは特筆すべきポイントです。正直なところ、弊社のようなコンテンツ制作屋から見ると、各コンテンツの内容は大したものではありません。(読みやすさは合格点ですが)それでも、既に得ているドメインパワーを最大限に活用して効果性の高い、つまり成約に近いキーワードで読み物コンテンツを企画する制作体制は見事です。

廃車王はネット広告不要

指名検索をトップページに集め、成約に近いキーワード検索をコンテンツで支配できているため、当然ですがリスティング広告はほとんど使っていないことがわかります。その必要もないということでしょう。

ハイシャルはリスティング広告とコンテンツマーケのバランス派

自動車リサイクル大手廃車王・カーネクスト・ハイシャルを徹底比較

ハイシャルを運営しているユニオンエタニティ株式会社は、2016年5月に創業した大阪ベースの企業です。ハイシャルのほかにも個人買いでの中古車売買をサポートするフリマサイト「クリマ」や車陸送サービス「車陸送.com」を展開しています。ハイシャルは、実車査定を行わずに電話やメール、LINEで買取り依頼が完了する非対面型の廃車買取サービスとしてスタートしました。(LINE査定は2018年に追加)ちなみに、上記トップページのオペレーター女性画像が表示される前に「一瞬」表示されるタレント藤原紀香さんの画像は、同社が「中小企業からニッポンを元気にプロジェクト」に参加していた(現在も参加中?)からだと思われます。「中小企業からニッポンを元気にプロジェクト」は元エン・ジャパンの山下佳介氏が立ち上げた芸能人・タレントの肖像権共同使用サービスです。

ハイシャルは幅広いサイトから被リンク獲得

自動車リサイクル大手廃車王・カーネクスト・ハイシャルを徹底比較

オーガニックからのトラフィックは、廃車王とほぼ同等の66,700件を獲得している点はすばらしいですね。被リンク数は廃車王に比べればさすがに少なめです。それでも、被リンク元の参照ドメイン数は廃車王の333個に対して247個と大健闘しています。被リンク元の傾向としては、廃車王のような地方のパーツ業者や中古車業者は少なめです。それでも、ネット上の自動車関連のランキングサイトから多くの被リンクを獲得しています。幅広く被リンクを獲得してドメインパワーを溜め込んでいる姿が見て取れます。

バランスよくリスティング広告も活用

自動車リサイクル大手廃車王・カーネクスト・ハイシャルを徹底比較

廃車王と比較すると、ハイシャルはリスティング広告もバランスよく活用していることがわかります。上記画像で示すAhrefsの調査によると、2021年9月頃から特に本腰を入れてリスティング広告への入稿をしていることが見て取れます。カーネクストほどではありませんが、SEOとリスティング広告をバランスよく運用しながら集客力を高めていることがわかるでしょう。

幅広いコンテンツからアクセスを獲得

自動車リサイクル大手廃車王・カーネクスト・ハイシャルを徹底比較

ハイシャルのコンテンツSEOの特徴は、廃車王のようにトップページで大きなワードを集中的に取るのではなく、各コンテンツで分散して関連キーワード上位を獲得していることです。どちらかというとスタンダードなコンテンツSEOと言えるでしょう。上位キーワードを見ると、CVからは少し遠い潜在顧客向けのキーワードもある程度バランスよく獲得しながら、サイト流入を高めていく戦略が見て取れます。一撃必殺の廃車王とは違った戦略で興味深いでしょう。

そのことは、ページごとのアクセス量分布でもはっきりわかります。

以下はハイシャルのページごとの流入量の分布を表しています。最もアクセスボリュームが大きいのは、月アクセス100~1,000以下の中堅ページクラスタですが、1,000~5,000の上位ページクラスタ、5,000以上の超エリートページクラスタのそれぞれがバランスよくアクセスを獲得しています。アクセスが0に近い最下位クラスタのページがほとんどありません。つまり、多くのページがまんべんなくアクセスを獲得しています。コンテンツ制作にかかわる人間としては理想的な分布と言えるでしょう。

自動車リサイクル大手廃車王・カーネクスト・ハイシャルを徹底比較

参考までに、以下が廃車王のページごとの流入量の分布です。ハイシャルと同様に、最もアクセスボリュームが大きいのは、月アクセス100~1,000以下の中堅ページクラスタです。しかし、ハイシャルに比べるとはるかに少ないページ数でハイシャル以上の流入量を効率よく稼いでいることがわかります。ちなみに、5,000以上の超エリートページクラスタはわずか1ページ(トップページ)のみで約7,000アクセスを稼いでいます。ほとんどアクセスがないページも多いですが、上位ページで荒稼ぎをしている点がハイシャルとの大きな違いです。

まとめ

自動車リサイクル業界はSDGs潮流に乗った業種として、世間の注目を集めています。東南アジアへの車両・パーツの輸出を見据えてグローバル化も進んでいます。サイト分析をしてわかるように、3社3様の方法で顧客層を絞り(または広げて)、得意分野で勝負していることがわかります。もちろん、競合の動向を伺いながら、試行錯誤して自社のスタンスを固めたのでしょう。それでも、競合を気にしすぎて自分のスイングを崩すことなく、自社のストロングポイントを活かせる戦略を進めているのは私たちすべての参考になるのではないでしょうか?