コワーキングスペースの開業・運営で失敗しない方法は?無料と有料のバランスの取り方は?収益最大化方法を完全解説

この記事は、コワーキングスペースやシェアオフィスの開業や運営に興味がある方、または、すでに開業していて運営のヒントや情報を求めている経営者の皆様のために書かれました。

コワーキングスペースの開業を検討して弊社に相談する多くの人が立地選びに固執している一方で、実は立地以外にも収益に大きく影響する要素が数多く存在します。

この記事では、事業計画の策定から資金調達、適切な立地の選定、マーケティング戦略、リスク管理まで詳細に解説します。リスク回避策はしっかりと講じていると思っているかもしれませんが、この記事で紹介する内容で、それが本当に十分かどうか確認してみてはいかがでしょうか。

記事を読むことで、コワーキングスペースの成功した開業と運営のための具体的なステップやヒントを得られるでしょう。

弊社スリードットのコワーキングスペース、シェアオフィスに特化したコンサルティングについて、以下の記事で詳しく解説しています。

目次

コワーキングスペースの開業手順

コワーキングスペースの開業手順

コワーキングスペースやシェアオフィスを開業・運営するためには、計画的なアプローチが不可欠です。事業計画の策定からオープニングイベントまで、一連の手順を詳細に解説します。

事業計画の策定と資金調達

事業計画の策定と資金調達

事業計画の策定は、コワーキングスペースやシェアオフィスの開業において最も基本的なステップであり、その重要性は言うまでもありません。事業計画書には、目的、市場分析、費用見積もり、収益予測など、多くの要素が含まれます。

資金調達についても、この事業計画が非常に重要な役割を果たします。多くの方が誤解しているのは、資金調達は「銀行からの借入れだけ」と考える点です。実際には、エンジェル投資家やベンチャーキャピタル、クラウドファンディングなど、多様な方法が存在します。

適切な立地の選定と物件調査

適切な立地の選定と物件調査

立地選定は、コワーキングスペースやシェアオフィスの成功において非常に重要な要素です。良い立地には以下のような特徴があります。

  • 交通の便が良い
  • 周辺に飲食店やコンビニが多い
  • 安全な地域である

物件調査では、広さ、設備、賃料などを詳細に調査し、それらが事業計画と合致するかを確認する必要があります。

多くの人が見落とすのは、物件の「将来性」です。例えば、近隣に大規模な開発計画がある場合、将来的には集客力が増す可能性があります。

スペースのデザインと内装計画

スペースのデザインと内装計画

スペースのデザインと内装計画は、コワーキングスペースやシェアオフィスが提供する「価値」を形作る重要な要素です。デザインには、ブランドイメージを反映させることが求められます。

内装については、利用者が快適に作業できるよう、照明や家具、インターネット環境などの設備が整っていることが必要です。高級な内装が良いとされがちですが、実際には利用者のニーズに合った内装が最も重要です。

必要な設備とサービスのリストアップ

必要な設備とサービスのリストアップ

設備とサービスのリストアップは、コワーキングスペースやシェアオフィスの運営において、顧客満足度と収益性を直接左右する要素です。

ありがちな過ちとして、全ての設備やサービスを最初から揃えようとする傾向があるでしょう。しかし、これは資本を圧迫し、リスクを高める可能性があります。まずは、基本的な設備とサービスに絞り、その後顧客のフィードバックに基づいて追加していく戦略が有効です。

具体的には、Wi-Fi、プリンター、コーヒーマシンなどは最低限必要な設備です。一方で、会議室の利用や24時間営業などは、顧客のニーズに応じて後から導入することも考慮するべきです。

スタッフ採用とトレーニング

スタッフ採用とトレーニング

スタッフ採用とトレーニングは、コワーキングスペースやシェアオフィスのブランドを形成し、運営をスムーズに行うために不可欠です。採用に際しては、単にスキルが高い人材を採用するのではなく、コワーキングスペースのビジョンや文化に合った人材を選ぶことが重要です。

トレーニングでは、カスタマーサービスのスキルはもちろん、緊急時の対応策や施設の設備に関する知識も必要です。専門家としてのアドバイスとしては、定期的なスキルアップトレーニングやフィードバックの機会を設け、スタッフが自ら成長できる環境を作ることが、長期的な成功に繋がります。

営業開始に向けたプロモーション活動

営業開始に向けたプロモーション活動

営業開始に先立ってのプロモーション活動は、初動の集客とブランド認知度向上に不可欠です。

多くの運営者がSEOやSNSマーケティングに偏りがちですが、地域密着型のプロモーションも非常に効果的です。具体的なアドバイスとしては、開業前に地域の企業や団体と連携し、共同でセミナーやワークショップを開催することをお勧めします。

これにより、地域社会との連携を強化し、口コミによる集客を促進することができます。

オープニングイベントの計画

オープニングイベントの計画

オープニングイベントは、コワーキングスペースやシェアオフィスのブランドを市場に打ち出す大事な機会です。

ただし、多くの方が陥りがちな罠として、オープニングイベントで「大々的に宣伝するだけ」が目的になってしまうことがあります。オープニングイベントには必ず「何らかの付加価値」を提供するようにすることです。

例えば、参加者に対して無料でワークショップやセミナーを提供する、または地元のアーティストや職人とコラボレーションして、参加者にとって有意義な時間を提供すると良いでしょう。

コワーキングスペース選びと立地の重要性

コワーキングスペース選びと立地の重要性

物件選びは、コワーキングスペースやシェアオフィスの基盤となる要素です。広さ、設備、賃料、そして将来性を総合的に考慮する必要があります。

重要なのは、物件選びにおいて「柔軟性と拡張性」を持つことです。具体的には、成長に応じてスペースを拡張できる物件や、必要な設備を後から追加できるような物件が理想的です。

例えば、東京のあるコワーキングスペースでは、初めは小規模なスペースからスタートし、ビジネスが成功するにつれて隣接するフロアやビルに拡大しています。このような柔軟性がある物件を選ぶことで、ビジネスのスケールに応じてスペースを調整できます。

成功に必要なのは立地だけではない

良い立地は、自然と集客力が高まりますが、その反面、賃料が高くなる可能性もあります。立地は確かに重要ですが、それだけに囚われてしまうと、他の収益に関連する要素が見落とされがちです。

物件と立地選定には「ビジネスモデルとの相互作用」も考慮する必要があります。

例えば、ターゲットとする顧客層がフリーランスであれば、駅から少し離れた場所でも問題ないかもしれません。逆に、ビジネスマンをターゲットとする場合は、駅近でアクセスが良い場所が求められます。

例として、渋谷や新宿などの繁華街に位置するコワーキングスペースは集客力がありますが、賃料が高く、競合も少なくありません。一方で、地方都市や郊外は意外な狙い目です。地方都市では、地元企業との連携や地域コミュニティとの結びつきを強化することで、独自の価値を提供できます。また、周辺に大学や研究機関がある場合、学生や研究者をターゲットにしたサービスを提供することで、新たな顧客層を開拓できるでしょう。

巧みな戦略により、賃料が低く抑えられる上に、地域密着型のサービスで収益を上げることが可能です。

コワーキングスペースの料金設定方法

コワーキングスペースの料金設定方法

コワーキングスペースやシェアオフィスの料金設定は、単なる数字の設定以上に、ビジネス戦略、ブランドイメージ、顧客体験に影響を与えます。多角的な視点から料金設定の深掘りを行います。

市場リサーチと競合分析

市場リサーチと競合分析は、料金設定の基礎となるステップです。

例えば、大阪のある成功しているコワーキングスペースは、競合となるスペースの料金だけでなく、そのエリアのオフィスビルの賃料も調査しています。このデータに基づき、オフィスビルよりも手頃な価格設定を行い、多くのスモールビジネスオーナーを引きつけています。

コワーキングスペースの競合は?

市場リサーチと競合分析は、多くの場合、同じコワーキングスペースやシェアオフィスの他社の料金設定に焦点が当たりがちです。しかし、近隣の以下施設の料金も考慮に入れることができます。

  • カフェ
  • 図書館
  • ジム
  • スポーツ施設

これらの施設も、ある意味でコワーキングスペースと同じ「第三の場所」として機能しています。そのため、これらの施設の料金やサービスを調査することで、より広い視野での競合分析が可能です。

料金設定の基準と戦略

料金設定の基準と戦略は、コワーキングスペースやシェアオフィスのビジネスモデルと密接に関連しています。単に時間単位や月単位での料金設定にとどまらず、顧客の使用目的に応じたプランを提供することです。

例えば、会議室の利用が多いビジネスマンには、会議室利用時間を多く含むプランを、リモートワークが主のフリーランサーには、高速Wi-Fiとコーヒーが無料のプランを提供するなど、顧客のニーズに合わせて柔軟に料金プランを設定できます。

無料サービスと有料サービスのバランス

無料サービスと有料サービスのバランスは、コワーキングスペースやシェアオフィスへの顧客満足度と収益性の両立に影響を与えます。無料サービスは顧客を引きつける「入口」として位置づけ、有料サービスで「深化」させる戦略を取るのが通常です。

具体的には、Wi-Fiやコーヒーなどの基本的なサービスを無料で提供し、プレミアムな会議室や24時間利用可能なスペースなどは有料とすることで、多層的な収益モデルを構築します。

加えて、多層的な収益モデルを構築することも考えられます。例えば、無料で提供するワークショップやセミナーを通じて、参加者に有料のコンサルティングサービスや専門的なツールの使用を促すことも可能でしょう。

コワーキングスペースで顧客を増やすためのマーケティング戦略

コワーキングスペースで顧客を増やすためのマーケティング戦略

顧客を増やすためのマーケティング戦略は、単に広告を出す以上の複雑な要素を含んでいます。特に、コワーキングスペースの場合、顧客は多様なニーズと期待を持っていますので、その多様性に対応した戦略が求められます。

SNSを活用した情報発信

SNSは、多くの企業が情報発信に利用していますが、コワーキングスペースやシェアオフィスにおいては、ただ情報を発信するだけではなく、コミュニティを形成するツールとしても非常に有用です。

例えば、Instagramでの美しいオフィスの写真だけでなく、LinkedInでのビジネスセミナーの告知や、Twitterでのリアルタイムな空席情報の提供など、各SNSの特性に合わせた多角的な情報発信が可能です。

SEO対策とコンテンツマーケティング

コワーキングスペースやシェアオフィスでのSEO対策とコンテンツマーケティングは、ウェブサイトのランキング向上やブランド認知度の向上を目的としています。加えて、顧客エンゲージメントや顧客囲い込みにも活用できます。

ブログやニュースレターでの専門的なコンテンツ提供を通じて、顧客に継続的な価値を提供することが考えられます。さらに、これらのコンテンツを既存の顧客にシェアしてもらうことで、口コミによる新規顧客獲得にもつながります。

地域のネットワークやイベントとの連携

地域のネットワークやイベントとの連携は、コワーキングスペースやシェアオフィスが単なる作業場所以上の価値を提供する大きな手段です。

例えば、地域の商店会や観光協会、学術機関と連携し、共催イベントやセミナーを開催することで、コワーキングスペースを地域社会に根ざした存在として位置づけることができます。

さらに、これらのイベントを通じて得られたデータやフィードバックを活用し、次なるマーケティング戦略やサービス改善につなげることが可能です。

メンバーシッププランや特典の導入

コワーキングスペースやシェアオフィスでのメンバーシッププランや特典の導入は、顧客の囲い込みを高めるための有効な手段です。具体的には、長期契約割引プランや、高頻度利用者に対するポイント制度を導入することが考えられます。

また、メンバー限定のネットワーキングイベントや専門セミナーを提供することで、他のコワーキングスペースと差別化を図り、顧客の満足度とロイヤリティを高めることができます。

口コミや紹介制度の導入

口コミや紹介制度は、新規顧客獲得コストを削減しながら、コワーキングスペースやシェアオフィスが効率的に顧客基盤を拡大する方法です。

紹介制度には、既存の顧客に対するインセンティブ(例:次回利用時の割引、ギフトカードなど)を設定することで、顧客自身が新規顧客を連れてくる動機を作ります。このような制度は、特にコワーキングスペースにおいては、コミュニティを形成する上でも非常に有効です。

収益を最大化するためのコワーキングスペース運営のヒント

収益を最大化するためのコワーキングスペース運営のヒント

コワーキングスペースやシェアオフィスが収益を最大化するためには、単にスペースを提供するだけでは不十分です。多角的な収益源の開拓と、顧客に提供する価値の拡充が必要です。

スペースの多目的利用(イベントやセミナーの開催)

スペースの多目的利用は、収益の多角化に直結します。例えば、通常の業務時間外にセミナーやワークショップ、イベントを開催することで、新たな収益源を確保できます。

さらに、これらのイベントはメンバー間の交流を促進し、コミュニティを強化する効果もあります。これにより、長期的な顧客維持と口コミによる新規顧客獲得が期待できます。

パートナーシップや提携による新サービスの提供

パートナーシップや提携によって、コワーキングスペースやシェアオフィスに留まらない新しいサービスやプロダクトを提供することが可能です。

例えば、近隣のカフェやレストラン、フィットネスジムと提携し、メンバー限定の特典を提供することで、顧客に対する付加価値を高めます。また、専門的なコンサルティングサービスやビジネスツールの提供など、コワーキングスペースが元々持っているビジネスリソースを活用した新サービスも考えられます。

効率的な料金プランの再検討

料金プランの再検討は、コワーキングスペースやシェアオフィスにとって収益を最大化する上で欠かせないステップです。市場調査と顧客のフィードバックを基に、最も人気のあるプランや、逆に利用されていないプランを特定します。

その上で、高い利益率を持つプランを強化し、低いものは改善または廃止することで、全体の収益性を高めることが可能です。

副業や関連事業の導入

コワーキングスペースやシェアオフィスの運営において、副業や関連事業の導入は新たな収益源となり得ます。

例えば、オフィス用品の販売、プリンティングサービス、またはビジネスコンサルティングなど、顧客が必要とする可能性のあるサービスを提供することで、一つの収益モデルに依存しない健全なビジネス構造を築くことができます。

メンバー限定の特典やサービスの提供

メンバー限定の特典やサービスの提供は、顧客のロイヤリティを高める重要な手段です。専用の会議室利用時間、高速Wi-Fi、またはプロのコンサルティングサービスなど、他のコワーキングスペースやシェアオフィスと差別化を図る特典を設定することで、顧客が継続して利用するインセンティブを提供できます。

コワーキングスペース運営のリスクと回避策

コワーキングスペース運営のリスクと回避策

コワーキングスペースやシェアオフィスの運営で避けられないリスクと、その対応策について解説します。

顧客の流出リスク

顧客の流出は、コワーキングスペースやシェアオフィスにとって致命的なリスクの一つです。これを防ぐためには、顧客満足度の継続的なモニタリングと、その結果に基づいたサービス改善が必要です。

例えば、定期的なアンケートやフィードバックセッションを実施し、顧客が何を求めているのかを把握することが重要です。

顧客の流出リスクを考える際、一般的にはサービスの質や価格競争が焦点となりますが、それだけでは表面的すぎるかもしれません。顧客が流出する背後には、コミュニティの質や文化、さらには顧客が働くことの「意味」まで影響している場合があります。

例えば、コワーキングスペースが持つ「ブランドイメージ」や「社会貢献」が、顧客の自己実現に寄与すると感じられれば、流出は抑制されるでしょう。

施設や設備のトラブルリスク

コワーキングスペースやシェアオフィスにとって施設や設備のトラブルは、顧客に与える影響が大きいため、早急な対応が求められます。具体的な対策としては、設備の定期的なメンテナンスと、トラブル発生時の緊急対応プロトコルの整備が考えられます。

さらに、顧客に対しては、トラブル発生時の対応策(代替の作業スペースの提供など)を明確に伝え、信頼を維持することが重要です。

競合他社との価格競争リスク

価格競争は、多くのビジネスで避けられないリスクの一つです。しかし、価格だけで競争すると、収益性が損なわれるだけでなく、コワーキングスペースやシェアオフィスとしてのブランド価値も低下する可能性があります。

ここで考えるべきは、価格以外の要素で顧客に価値を提供する方法です。例えば、独自のイベントやセミナーを開催することで、顧客に対する付加価値を高め、価格競争から一歩引いた戦略を展開することが有効です。

売上不振による財務リスク

売上不振が続くと、財務状況が悪化し、最悪の場合、事業継続が困難になります。このような状況に陥る前に、収益の柱を多角化することが重要です。

コワーキングスペースやシェアオフィスの場合、スペースのレンタル以外にも、コンサルティングサービスやオフィス用品の販売など、関連するビジネス領域での展開を考えることで、リスクを分散させることができます。

法律や規制に関するリスク

法律や規制は、事業のスケールが拡大するにつれて、より厳しくなる可能性があります。特に、コワーキングスペースやシェアオフィスは多くの人々が出入りする場所であるため、安全性やプライバシーに関する法的な要件は厳格です。

これに対処するためには、専門の法律家と連携し、事業の各段階で法的なチェックを行うことが必要です。

まとめ

この記事では、コワーキングスペースやシェアオフィスの開業と運営に必要な多角的なステップを詳細に解説しています。事業計画の策定から資金調達、適切な立地の選定、マーケティング戦略まで、一通りのプロセスを網羅しています。

特に、立地選びだけでなく、多くの収益に関連する要素にも焦点を当てています。読者の皆様が成功したコワーキングスペースを開業、運営するためには、事業計画を策定し資金調達の方法を検討すること、立地と物件について徹底的な調査を行い選定することが欠かせません。そしてマーケティング戦略を練り具体的なプロモーション活動を始めることが重要です。

もし、施策を実行するうえで何か疑問や不明点があれば、どうぞお気軽に弊社にご相談ください。

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コワーキングスペース・シェアオフィスの開業・運営でよくある質問

コワーキングスペース・シェアオフィスの料金設定の方法は?

料金設定は競合分析と市場調査に基づいて行うことが重要です。

  • 競合他社の料金を調査
  • ターゲット顧客の支払い意欲を考慮

コワーキングスペース・シェアオフィスの経営で立地はどのように選ぶ?

立地は非常に重要ですが、それ以外にも考慮すべき要素があります。

  • 交通の便
  • 周辺のビジネス環境
  • 物件の条件(広さ、設備等)

立地以外にも多くの要素を考慮して、最適な物件を選びましょう。