スパムリンクと逆SEOの真実!過度な対策は逆効果?

2024年3月18日に、アメリカの大手掲示板サイトredditのSEO関連フォーラムに興味深い質問が投稿されました。テーマはスパムリンクについてです。

Can anyone help me on how to remove spammy backlinks?
byu/arpitadey15 inSEO

“私のウェブサイトへのスパムリンクが大幅に増加していることに気づきました。サイトの検索エンジンランキングと信頼性に悪影響を及ぼしています。スパムリンクを効果的に削除するのに苦労しています。
どなたか、スパムリンクを削除し、私のウェブサイトのリンクの完全性を回復するためのベストプラクティスやツールについてご指導やご提案をいただけないでしょうか?どんなヒントや提案でも結構です。”
弊社翻訳

投稿者はサイト運用をされているようで、外部からスパムリンク攻撃を受けて、検索順位や信頼性(きっと外部ツールで測定しているドメインオーソリティのようなもの?)の低下を観察しているとのこと。この逆SEO(と思われる現象)にどのように対策すればいいか?という質問ですね。

これに答えたのが、Googleの公式アナリストであるジョン・ミューラー御大です。redditやX(旧Twitter)の結構小さな板にもまめに顔を出してスパッと答えてくれることで界隈では有名です。

彼の答えについて説明する前に「スパムリンクとは何か」「逆SEOとは何か」説明します。

スパムリンクとは

スパムリンクとは、質の低いWebサイトから大量に張られるリンクのことを指します。スパムリンクの特徴は、リンク元のサイトがキーワードの詰め込みやコピーコンテンツなどの粗悪なコンテンツで溢れていることです。こうしたサイトは検索エンジンのガイドラインに違反しているため、スパムサイトとも呼ばれています。

スパムリンクは自然な形で獲得されたリンクとは異なり、意図的に操作されたリンクです。例えば、自動プログラムによって大量のリンクを短期間で設定したり、ブログのコメント欄などに無関係なリンクを貼り付けたりする行為は、典型的なスパムリンク行為と言えるでしょう。

スパムリンクからのリンクは質の低いリンクであるため、サイトの評価を下げる危険性があります。

時にスパムサイトからのリンクを知らないうちに大量に付けられてしまい、SEOに悪影響が出てしまうケースもあります。これはネガティブSEOとか逆SEOと呼ばれる手法の一つで、競合サイトの評価を下げる目的で行われることがあるのです。

放置していると、最悪の場合はGoogleからペナルティを受けて検索結果から除外されることもある、と言われています。

逆SEOの目的

逆SEOとは、特定のサイトの検索順位を意図的に下げるための手法を指します。これは一般的なSEO対策とは逆の目的を持っているため、逆SEOやネガティブSEOなどと呼ばれています。

逆SEOを行う目的は、競合サイトの評価を下げ、自社サイトの検索順位を相対的に上げることにあります。本来であれば、競合より良質なコンテンツを自サイトに掲載して、自サイトの評価を上げるのがSEOの本筋でなければなりません。しかし、逆SEOは相手の評価を不当な手段で下げようとする姑息な手法です。

具体的な手法としては、競合サイトに大量のスパムリンクを送り付けたり、ネガティブな口コミを書き込んだりすることが挙げられます。

例えば、自社サイトがキーワード「ダイエット食品」で3位にランクしているとします。そこで、1位と2位の競合サイトに逆SEOを仕掛けることで、それらのサイトの順位を下げ、自社サイトを1位に押し上げようとするのです。逆SEOによる影響は、対象サイトにとって深刻なものとなり得ます。大量のスパムリンクによってGoogleからペナルティを受ければ、検索順位が大幅に下落してしまうかもしれません。その結果、そのサイトへの流入が減少し、売上や問い合わせの減少につながる可能性があります。

さらに、ネガティブな評判が広まることで、ブランドイメージにも悪影響が及ぶかもしれません。信頼性の低下は、ユーザーの離反を招く恐れがあるのです。逆SEOは倫理的に問題があるだけでなく、場合によっては法的なリスクもはらんでいます。したがって、SEOの健全な発展のためにも、このような行為は避けるべきです。

もし自社サイトが逆SEOの被害に遭っていると思われる場合は、早急に原因を究明し、適切な対処を講じる必要があります。一方で、後述するように、Googleのアルゴリズムは日々進化しており、スパムリンク対策もかなりの部分で自動化されてきています。そのため、多少の逆SEOが行われたとしても、必ずしも大きな影響が出るとは限りません。過度に心配する必要はなく、まずは自社サイトの価値を高めることに注力すべきと言えるでしょう。

スパムリンク対策はどこまで必要?

近年、Googleは機械学習の進歩によって、スパムリンクを自動的に検出し、評価に反映しない仕組みを構築してきました。2012年のペンギンアップデートでスパムリンク対策が大幅に強化され、2016年にはリアルタイム ペンギンが導入されました。このアップデートにより、スパムリンクはリンク発見後すぐに評価されるようになったのです。

さらに、2021年のスパムアップデートでは、リンクスパムに対するアルゴリズムが改良されました。これにより、意図的に配置されたリンクや不自然なリンクは無効化されるようになっています。

こうしたGoogleの施策により、サイト運営者がスパムリンクに振り回されることは以前よりも大幅に減少しました。実際、上述の質問に対してジョン・ミューラー氏は以下のように、「スパムリンクは無視してよい」と明言しています。

Comment
byu/arpitadey15 from discussion
inSEO

(スパムリンクではなく)他のことに注力することをお勧めします。グーグルのシステムはランダムなスパムリンクに対処する点で本当に優秀です。ただし、一般のユーザーと同じように、大して中身がないウェブサイトにひっかかることもあります。しかし、そのようなサイトからのリンクを追跡するのではなく、あなたのサイトを素晴らしいものにしてください。
弊社翻訳

つまり、Googleは十分にスパムリンク対策を行える能力を備えており、各サイトの運営者が個別に対応する必要はほとんどないということです。Googleは日々膨大なデータを処理し、どのリンクが自然で価値があるかを高い精度で判定しています。

単発的なスパムリンクや、意図的に付けられた大量のリンクは、そのアルゴリズムによってほとんどすべて無効化されるでしょう。つまり、スパムリンクはサイトの評価に大きな影響を及ぼさない可能性が高いのです。サイトの運営者が神経質になる必要はありません。

スパムリンク対策よりも大切なこと

スパムリンク対策に注力することも大切ですが、それ以上に重要なのは、ユーザーにとって価値のあるWebサイトを作ることです。GoogleはかねてよりContent is King、つまり「コンテンツこそが王様だ」と言っています。サイトの価値を高めることこそが、SEOの本質なのです。

具体的には、ユーザーの悩みを解決し、役立つ情報を提供するコンテンツを作成することが求められます。オリジナリティのある良質な記事は、自然とリンクを集め、高い評価を得られるでしょう。逆に、コピーコンテンツや薄っぺらな内容では、いくらスパムリンク対策をしても意味がありません。

とはいえ、被リンクのチェックを定期的に行うことは重要です。自社サイトの評判を守るためにも、パートナー企業のサイトからリンクを得るなど、リンクの質には気を配る必要があります。リンクの質を保つのは重要です。

一応、Googleには公式の「リンク否認ツール」も存在します。自然な形では除去できないスパムリンクを報告し、検索ランキングへの影響を受けないようにするための仕組みです。ただし、このツールはあくまで最後の手段であり、安易な利用は逆効果になる可能性があります。削除すべきでないリンクまで否認してしまうと、SEOに悪影響が出るおそれがあるからです。十分な調査と検討の上で、必要最小限の否認に留めるべきでしょう。

ジョン・ミューラー氏も上記の質問に対して「リンク否認ツール」に言及さえしていないのは印象的です。

サイト構造も重要

サイトの使い勝手も重要な要素です。サイトのナビゲーションが分かりやすく、欲しい情報にすぐにたどり着けるような設計を心掛けましょう。スマートフォンでの閲覧にも最適化する必要があります。読み込み速度の改善も、ユーザビリティと直結する重要なポイントです。
正攻法のSEOは、時間もコストもかかります。しかし、それこそが、競合との差別化につながる価値ある投資なのです。スパムリンクに振り回されることなく、自サイトの価値を高めるために邁進したいですね。

まとめ

スパムリンクと逆SEOについて、基礎知識から対策、そして本来注力すべきSEO施策までを解説しました。

スパムリンクは確かにサイト運営者にとって脅威ではありますが、過度に恐れる必要はないことが分かったのではないでしょうか。Googleは日々進化し、スパムリンクを自動的に無効化する高度な仕組みを構築しています。多くの場合、サイト運営者が個別に対処しなくても、そのシステムがスパムの影響を排除してくれるのです。

大切なのは、ユーザーファーストのサイト作りです。スパムリンク対策に振り回されるのではなく、自社サイトの価値を高めることに注力することこそが、安定的なSEOを実現するための王道と言えるでしょう。

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